翻訳デバイスと翻訳アプリ、トータルコストはどちらが安いか|3年間の費用を比較してみた

翻訳デバイスを買うべきか、アプリで十分か、迷っていませんか?

外国人のお客様が増えてきた。何か言葉を伝えるための道具を用意しなければと思っている。

でも翻訳デバイスは3万円くらいするし、翻訳アプリは無料で使えると聞いた。一体どちらを選べばいいのだろう。そう悩んでいる経営者の方は多いのではないでしょうか。

この選択で多くの人がやってしまいがちな間違いがあります。それは、翻訳デバイスの値段だけを見て「高いから買いたくない」と思ってしまうことです。

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確かに最初に3万円を払うのは大きな出費に感じます。でも本当に大切なのは、最初の値段だけではなく、1年・2年・3年と使い続けたときにかかるお金の合計です。これをトータルコストといいます。

例えば翻訳アプリは最初は無料ですが、スマートフォンをずっと接客に使い続けることで、スマートフォンのバッテリーが早く傷む・落として壊してしまうリスクが高まるといったことが起きることがあります。

また接客中に翻訳アプリを開こうとして、画面のロックを外してアプリを探してタップして、という手間がかかる間にお客様を待たせてしまうという問題もあります。

一方で翻訳デバイスは最初に3万円かかりますが、2年間の通信費が含まれているモデルが多く、その後の維持費はかなり少なくて済みます。

ボタンを一つ押すだけで翻訳できるシンプルな設計なので、スタッフ全員がすぐに使いこなせるというメリットもあります。

どちらが本当に安いのかは、3年間という期間で考えてみると、思っていたのとは違う答えが出てくることがあります。

費用だけでなく、使いやすさや接客のスムーズさも含めて比べることで、自分のお店に合った選択ができるようになります。

比較する前に知っておくこと

費用を比べる前に、翻訳デバイスと翻訳アプリがそれぞれどんなものなのかを整理しておきます。

翻訳デバイスとはどんなものか

翻訳デバイスとは、翻訳することだけに特化して作られた専用の機械です。POCKETALK(ポケトーク)が最もよく知られています。

ボタンを押しながら日本語で話すと、すぐに相手の言葉に翻訳して音声と文字で伝えてくれます。相手が外国語で話したときも、同じように日本語に翻訳してくれます。

特徴として、スマートフォンのようにいろいろな機能がある複雑な機械ではなく、翻訳だけに絞ったシンプルな設計になっているため、機械が苦手なスタッフでもすぐに使い始めることができます。

多くのモデルがSIMカードという通信の仕組みを内蔵しており、お店のWi-Fiがなくてもそのまま使えます。値段は2万円台後半から3万円台前後が目安で、2年間の通信費が含まれているモデルが多いです。

翻訳アプリとはどんなものか

翻訳アプリとは、スマートフォンにインストールして使う翻訳のためのアプリのことです。

Google翻訳やVoiceTraなどが代表的で、どれも無料で使えます。スマートフォンに向かって話しかけると、相手の言語に翻訳してくれます。

特徴として、すでに手元にあるスマートフォンにアプリを入れるだけで始められるため、初期費用がかかりません。

ただしアプリを起動する手間・画面を操作する手間・お客様にスマートフォンの画面を見せるという動作が必要で、翻訳デバイスと比べると接客中の使いやすさに差が出ることがあります。

多くのアプリはWi-Fiまたはモバイル通信が必要で、通信環境がない場所では使えないものが多いです。

費用以外で違う点を整理する

費用以外の面でも、翻訳デバイスと翻訳アプリにはいくつかの違いがあります。

操作のシンプルさは翻訳デバイスの方が圧倒的に優れています。ボタンを押して話すだけという動作は、スタッフ全員がすぐに覚えられます。

翻訳アプリは画面の操作が必要で、慣れるまで時間がかかることがあります。

翻訳の精度はどちらも日常的な接客フレーズであれば十分なレベルに達していますが、騒がしいお店の中では翻訳デバイスの方がマイクの性能が高いため、音声を正確に拾いやすい傾向があります。

スタッフへの影響も考慮が必要です。接客中にスタッフ自身のスマートフォンを使うことに抵抗を感じるスタッフもいますし、お店の私物混用のルールによっては使いにくい場合もあります。

翻訳デバイスはお店の備品として管理しやすい点が利点です。

3年間のトータルコストを比べてみる

実際に3年間使い続けたときの費用を、翻訳デバイスと翻訳アプリのそれぞれで計算してみます。価格は2026年6月時点の情報をもとにしています。購入前に最新の価格を必ずご確認ください。

翻訳デバイスの3年間のコスト

翻訳デバイスの代表的な製品であるPOCKETALK S2(ポケトークS2)の公式価格は、2026年6月時点でSIM通信2年付きのモデルが36,300円です。

この価格には最初の2年間の通信費が含まれているため、2年間は追加の費用がかかりません。

3年目になると、2年間の通信が終わるため、通信を続けるためのSIMカードの更新費用が必要になります。

POCKETALKの専用SIMカード(2年分)は、Amazonなどで5,000〜8,000円程度で購入できます。

3年間のトータルコストをまとめると以下のようになります。
本体価格(通信2年込み):36,300円
3年目の通信更新費用:約5,000〜8,000円
合計:41,300〜44,300円程度
3年間を365日×3年=1,095日で割ると、1日あたり約38〜40円のコストになります。

翻訳アプリの3年間のコスト

代表的な無料翻訳アプリであるGoogle翻訳やVoiceTraは、アプリ自体の費用は0円です。

ただし、アプリを使うためにはインターネット接続が必要なため、スマートフォンのモバイル通信料がかかります。

スマートフォンをすでに持っていてモバイル通信契約もある場合、翻訳アプリを使うための追加費用はほぼゼロに近いと考えられます。ただし次のような「見えにくいコスト」も考えておく必要があります。

接客専用のスマートフォンを別に用意する場合は、本体代と月額の通信費がかかります。

格安スマートフォンを新しく購入するなら10,000〜30,000円程度、月額の通信費は格安SIMを使っても月額1,000〜2,000円程度が目安です。

この場合3年間のトータルコストは、本体代10,000〜30,000円+通信費36,000〜72,000円(月1,000〜2,000円×36ヶ月)で、合計46,000〜102,000円程度になります。

自分のスマートフォンを接客に使う場合は追加費用がほぼかかりませんが、スマートフォンをお店の備品として管理するのが難しい・スタッフの私物混用のルール上の問題・バッテリーの消耗が早まるといった見えにくいデメリットがあります。

並べて比較するとどうなるか

翻訳デバイスと翻訳アプリ(接客専用スマートフォンを用意する場合)の3年間のトータルコストを並べると次のようになります。

翻訳デバイス(POCKETALK S2):41,300〜44,300円程度
翻訳アプリ(接客専用スマートフォンを用意する場合):46,000〜102,000円程度

接客専用のスマートフォンを別に用意するなら、3年間のトータルコストは翻訳デバイスの方が安くなるケースが多いことがわかります。

自分のスマートフォンをそのまま使う場合は翻訳アプリの方が安くなりますが、スタッフがスムーズに使いこなせるかどうかや接客の質という面では、翻訳デバイスの方が優れているという声が多いです。

費用だけでなく、使いやすさや接客への影響も合わせて判断することが大切です。

費用以外で選ぶときのポイント

3年間のコストだけで判断するのではなく、自分のお店の状況に合わせて選ぶことも大切です。3つの視点から整理します。

外国人客が来る頻度で考える

外国人のお客様が来る回数が少ない場合と多い場合では、最適な選択が変わります。

外国人のお客様が週に数回程度の場合は、まず無料の翻訳アプリから始めることをお勧めします。

来店頻度が少ない段階で3万円以上の翻訳デバイスを購入しても、使う機会が少なくもったいないと感じる可能性があります。

アプリで対応しながら、来店が増えてきたタイミングで翻訳デバイスへの移行を検討する方が無駄のない進め方です。

外国人のお客様が毎日来る・一日に何組もいらっしゃるという場合は、翻訳デバイスを最初から導入することをお勧めします。

毎日の接客で翻訳アプリの操作の手間が積み重なると、スタッフの負担が大きくなります。翻訳デバイスのボタン一つで翻訳できるシンプルさは、頻繁に使う場面ほど効果を発揮します。

スタッフの使いやすさで考える

翻訳アプリはスマートフォンに慣れているスタッフなら特に問題なく使えますが、普段スマートフォンをあまり使わないスタッフや、年配のスタッフが多いお店では、アプリの操作に戸惑うことがあります。

翻訳デバイスはボタンを押して話すだけという非常にシンプルな操作のため、スマートフォンが苦手なスタッフでも短時間で使いこなせます。

また翻訳デバイスはお店の備品として管理しやすく、スタッフが交代しても同じ使い方で対応できます。

スタッフの年齢層や機械への慣れ具合を考えたうえで、全員がストレスなく使えるものを選ぶことが、実際の接客に役立つ選択につながります。

お店の種類と接客シーンで考える

お店の種類や接客の場面によっても、向いている選択が変わります。

飲食店のホールスタッフのように、両手がふさがった状態で接客することが多い場合は、スマートフォンを取り出して操作する翻訳アプリは使いにくいです。

この場合は翻訳デバイスの方が接客の流れを止めずに使いやすいです。ただし翻訳デバイスの中にはイヤホン型のものもあり、完全に両手が空く状態で使えるものもあります。

レジ周りで対応する機会が多い小売店や土産物店の場合は、レジの横に翻訳デバイスを一台置いておくスタイルが使いやすいです。

会計時に外国人のお客様と話す場面が多く、翻訳デバイスをその場所に固定して置いておくだけで、すぐに使える環境が整います。

お客様が来店する前からオンラインで問い合わせが来ることが多い宿泊施設の場合は、チャットでの返信に翻訳アプリを使い、実際のチェックイン対応には翻訳デバイスを使うという組み合わせが効果的なケースもあります。

翻訳アプリと翻訳デバイスはどちらか一方だけを選ぶ必要はなく、場面に合わせて使い分けるという考え方もあります。

よくある質問

翻訳デバイスと翻訳アプリの選び方について、よく寄せられる疑問をまとめました。

翻訳デバイスは壊れたらどうなりますか?

翻訳デバイスにも保証期間があり、POCKETALKの場合は購入から1年間のメーカー保証がついています。保証期間内に壊れた場合は、修理または交換で対応してもらえます。

保証期間が過ぎた後に壊れた場合は、修理費用がかかるか、新しいものを買い直す必要があります。

修理費用は壊れ方によって変わりますが、本体を買い直した方が安くなる場合もあります。落としたり水に濡らしたりしないよう、ケースに入れて大切に使うことをお勧めします。

壊れるリスクを考えると、複数のスタッフが共有する場合は2台用意しておく方が安心です。1台が壊れたときも接客が止まらずに済みます。

もし1台だけで運用している間に壊れた場合は、翻訳アプリで一時的に対応しながら新しいデバイスを購入するという方法も取れます。

アプリはWi-Fiがない場所でも使えますか?

翻訳アプリの多くは、インターネットにつながっていないと使えません。

お店の中にWi-Fiがある場合は問題なく使えますが、Wi-Fiがない場所やWi-Fiが不安定な場所では翻訳ができなくなることがあります。

スマートフォンのモバイル通信(4Gや5G)を使えばWi-Fiがなくても翻訳アプリを使うことはできますが、通信が混雑している時間帯は翻訳に時間がかかることがあります。

一部の翻訳アプリはオフライン(インターネットなし)でも使える機能を持っていますが、対応している言語の数が少なくなったり、翻訳の精度が下がったりすることがあります。

屋外や通信環境が不安定な場所で使うことが多い場合は、SIM内蔵で通信環境を選ばないPOCKETALKのような翻訳デバイスの方が安心して使えます。

まずアプリで試してから翻訳デバイスに移行できますか?

できます。むしろこの順番で進めることをお勧めします。まず無料の翻訳アプリを使いながら、実際に外国人のお客様が来店したときの接客を経験してみてください。

その中で「アプリの操作が間に合わない」「お客様を待たせてしまう」「スタッフが使いにくそうにしている」と感じたタイミングで、翻訳デバイスへの移行を検討することが現実的な進め方です。

翻訳アプリで十分対応できていると感じているなら、そのまま使い続けることも一つの選択です。

費用をかけることより、実際に接客に役立っているかどうかを基準に判断してください。

外国人のお客様の来店が増えてきて「もっとスムーズに対応したい」と思ったときが、翻訳デバイスへ移行する良いタイミングです。

まず無料アプリで始めて、外国人客が増えたら翻訳デバイスを検討する

ここまで翻訳デバイスと翻訳アプリの違いから3年間のトータルコストの比較、費用以外の選び方のポイントまで解説してきました。最後に全体を振り返ります。

初期費用だけで判断しないことが大切

翻訳デバイスは最初に36,300円(POCKETALK S2、2026年6月時点)かかります。翻訳アプリは0円で始められます。

この差だけを見ると「アプリの方がお得」と感じてしまいますが、3年間のトータルコストで比べると、接客専用のスマートフォンを別に用意する場合は翻訳デバイスの方が安くなるケースが多いことがわかりました。

初期費用だけで判断せず、長期的なコストと使いやすさを合わせて考えることが大切です。

外国人客の来店頻度で選び方が変わる

外国人のお客様がまだあまり来ない段階では、まず無料の翻訳アプリから始めることをお勧めします。

Google翻訳やVoiceTraは費用ゼロで今日から使い始められ、基本的な接客には十分対応できます。

外国人のお客様の来店が増えてきて「もっとスムーズに接客したい」と感じたタイミングで、翻訳デバイスへの移行を検討するという段階的な進め方が、費用を無駄にしない現実的な方法です。

費用より「使われるかどうか」が一番大切

どれだけ良い翻訳デバイスを買っても、スタッフが使いこなせなければ意味がありません。

逆に翻訳アプリでも、スタッフ全員がスムーズに使えているなら無理に翻訳デバイスに変える必要はありません。

費用よりも「実際に接客の場で使われているかどうか」を判断の基準にすることが、インバウンド対応を長続きさせるコツです。

翻訳ツールはあくまでも言葉の壁を下げるための道具です。どちらを選んでも、笑顔と気持ちが伝わる接客を続けることが、外国人のお客様に「また来たい」と思ってもらえる一番の近道です。

この記事を書いた人

旅行、観光、IT・Webマーケティングの仕事に25年ほど携わってきた40代。現在はインバウンド対応に悩む店舗・宿泊施設の方々に向けて、実際に使えるツールや方法をまとめています。導入コストや使い勝手を含めて丁寧に検証することを心がけています。