インバウンド対応の翻訳デバイスおすすめ5選|飲食店・小売店向けに徹底比較

外国人客との会話、今どうしていますか?

「いらっしゃいませ」と声をかけたら、外国語で話しかけられてしまった。スマホを取り出して翻訳アプリを立ち上げる間、お客様を待たせてしまう。

なんとか意味は伝わっても、どこかぎこちない接客になってしまう。そんな経験をされたことはありませんか。

訪日外国人の数は年々増加しており、これまで外国人客とほとんど接点がなかった店舗でも、気づけばさまざまな国のお客様が来店するようになってきています。

円安の影響もあり、この流れはしばらく続くと見られています。観光地や繁華街だけでなく、住宅街の小さな飲食店や地方の小売店にも、外国人客が訪れるケースが珍しくなくなってきました。

しかし「英語が話せないと対応できない」「通訳を雇う余裕はない」「そもそも何から始めればいいかわからない」という店舗がほとんどではないでしょうか。言葉の壁は、接客の質に直結します。

うまく対応できなかったお客様がSNSや口コミサイトに否定的な投稿をしてしまうリスクも、無視できない時代になっています。

一方で、うまく対応できた店舗には思わぬ恩恵があります。外国人客は日本人客と比べて客単価が高い傾向があり、気に入った店には複数回訪れたり、母国の友人・知人に紹介してくれたりするケースも多いと言われています。

言葉の壁を乗り越えることができれば、インバウンド需要は大きなビジネスチャンスになり得るのです。

そこで注目されているのが翻訳デバイスです。ボタンひとつで話しかけるだけで、相手の言葉に翻訳して返してくれる小型の機器で、近年は対応言語数や翻訳精度が大きく向上しています。

スマホの翻訳アプリとの大きな違いは、操作のシンプルさとスピードです。アプリのように画面を開いてテキストを入力したり、マイクボタンを探したりする手間がなく、専用デバイスならではの直感的な操作で、接客の流れを止めずに使えます。

価格帯も以前と比べて手頃になってきており、1台3万円前後から導入できる製品が増えています。スタッフ全員が語学研修を受けるコストと比べれば、はるかに現実的な投資と言えるでしょう。

翻訳デバイスを選ぶ前に確認すべき3つのポイント

いざ翻訳デバイスを購入しようとすると、さまざまな製品が並んでいて迷ってしまいます。価格も機能もバラバラで、どれが自分の店に合っているのか判断しにくいのが正直なところです。

購入後に「思っていたものと違った」とならないよう、まず以下の3つのポイントを確認しておきましょう。

対応言語の数と精度

翻訳デバイスを選ぶうえで最初に確認したいのが、対応している言語の数と翻訳精度です。製品によって対応言語数は大きく異なり、数十言語に対応しているものから100言語以上に対応しているものまでさまざまです。

ただし、対応言語数が多ければ良いというわけではありません。自分の店にどの国のお客様が多いかを先に把握しておくことが大切です。

中国語・韓国語・英語の3言語に対応していれば、多くの訪日外国人に対応できると言われています。また翻訳精度は製品によって差があり、特に日常会話や接客フレーズの精度が高いものを選ぶと実用的です。

通信環境(Wi-Fi専用かSIM内蔵か)

翻訳デバイスの多くはインターネット接続を利用して翻訳を行います。そのため通信環境の確認は非常に重要です。大きく分けると、Wi-Fi接続が必要なタイプとSIMカードが内蔵されていてどこでも使えるタイプの2種類があります。

店舗内にWi-Fi環境が整っている場合はWi-Fi専用タイプでも問題ありません。しかし屋外での接客や移動販売など、安定したWi-Fiが確保できない環境で使う場合はSIM内蔵タイプが安心です。

SIM内蔵タイプは月額の通信料がかかるものもあるため、導入前にランニングコストも確認しておきましょう。

なお、一部の製品はオフラインでも使える機能を備えています。通信が不安定な環境での使用が多い場合は、オフライン対応の有無もチェックポイントになります。

価格帯と導入コスト

翻訳デバイスの本体価格は製品によって大きく異なり、1万円台のものから5万円以上するものまであります。ただし本体価格だけでなく、通信費や保証サービスの費用なども含めたトータルコストで比較することが大切です。

また複数台導入を検討している場合は、まず1台試してみて使い勝手を確認してから追加購入する方がリスクを抑えられます。

高価な製品が必ずしも自分の店に合っているとは限らないため、予算と用途のバランスを考えて選ぶようにしましょう。

おすすめ翻訳デバイス5選|店舗別に選び方を解説

翻訳デバイスは製品によって対応言語数・通信方式・価格帯がさまざまです。以下では、店舗での接客シーンを想定しながら、現在入手しやすい製品を5つ紹介します。

POCKETALK W|定番の安心感、SIM内蔵で通信不要

74言語の音声翻訳に対応し、タッチパネル搭載でスマートフォン感覚で操作できる翻訳デバイスです。

105の国と地域に対応したeSIMを内蔵しており、設定不要でそのまま使い始めることができます。店舗のWi-Fi環境に依存せず使えるため、レジ周りや店頭など場所を選ばない点が店舗向けとして評価されています。

翻訳機市場でのシェアが高く、サポート体制も整っているため、初めて翻訳デバイスを導入する店舗に向いています。

価格は執筆時点でAmazon・楽天で3万円前後が目安ですが、購入前に最新価格をご確認ください。

向いている店舗:Wi-Fi環境が不安定な店舗、初めて翻訳デバイスを導入する飲食店・小売店

ili(イリー)|オフライン特化、通信環境ゼロでも動く


インターネット不要のオフライン翻訳を得意とするデバイスで、英語・中国語・韓国語に対応し、最速0.2秒で翻訳結果を提示します。

ただし自分の言葉を翻訳するだけの一方向翻訳のため、相手の返答を翻訳することはできません。そのため相手の言葉を聞き取る必要がなく、案内や注文受けなど「伝える」シーンに特化した使い方に向いています。

Wi-Fiもモバイル通信も一切不要なため、通信環境が整っていない店舗や屋外の販売シーンで重宝します。

向いている店舗:通信環境がない屋外店舗、案内・誘導など一方向の伝達が多い業種

WT2 Edge|イヤホン型で両手が空く、接客しながら使える

ワイヤレスイヤホン型の翻訳デバイスで、双方向の会話翻訳に対応しています。スタッフと外国人客がそれぞれイヤホンを片耳ずつ装着して会話する形式で、デバイスを手に持つ必要がありません。

料理を運びながら、商品を手渡しながらといった、両手がふさがった状態でも使えるのが最大の特徴です。

飲食店のホールスタッフや、試着室での接客など、動作を伴う接客シーンとの相性が良いです。

向いている店舗:飲食店のホールスタッフ、アパレル・雑貨など動きながら接客する店舗

Google翻訳アプリ|コストゼロで今すぐ始めたい場合

スマートフォンにインストールするだけで使える無料アプリです。対応言語数は100以上と非常に多く、カメラで撮影したメニューや看板をそのまま翻訳する機能も備えています。

専用デバイスと比べると操作ステップが多く、接客の流れを止めてしまいやすい点はデメリットです。ただし「まず試してみたい」「コストをかけずに始めたい」という店舗にとっては現実的な選択肢です。

専用デバイスへの移行を検討しながら、つなぎとして使う使い方もあります。

向いている店舗:翻訳デバイス導入前の試し段階、予算をかけられない小規模店舗

VoiceTra|無料アプリの中では精度が高い

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発した音声翻訳アプリで、31言語に対応しており、ダウンロードから利用まですべて無料です。

国の研究機関が開発しているだけあって、特に中国語やタイ語、ミャンマー語などアジア言語の翻訳精度に定評があります。

訪日外国人の多くがアジア出身であることを考えると、コストをかけずにアジア言語対応を強化したい店舗にとって実用的な選択肢です。

向いている店舗:アジア系の外国人客が多い店舗、無料で精度の高いアプリを探している場合

店舗タイプ別おすすめの選び方まとめ


ここまで5つの翻訳デバイスを紹介しました。「結局どれを選べばいいのか」と迷っている方のために、店舗のタイプ別に整理します。

飲食店(カフェ・レストラン・居酒屋など)

飲食店での接客は注文を受ける・料理を運ぶ・会計をするという一連の流れがあり、両手がふさがることも多いです。

そのためイヤホン型で両手が空くWT2 Edgeか、操作がシンプルで直感的に使えるPOCKETALK Wが向いています。

複数のスタッフで共有する場合はPOCKETALK Wのように本体を手渡しできるタイプが使いやすく、特定のスタッフが担当する場合はWT2 Edgeのイヤホン型が快適です。

予算を抑えたい場合はVoiceTraアプリをスタッフのスマートフォンに入れておくだけでも、当面の対応は可能です。

  • こんな選び方がおすすめ:両手が空く接客が多い→WT2 Edge
  • 幅広い言語に対応したい→POCKETALK W 活用イメージはこちら
  • まずコストゼロで試したい→VoiceTra

小売店(土産物店・雑貨店・アパレルなど)

商品の説明や価格の案内など、比較的短い会話が多い小売店では、操作がシンプルで素早く翻訳できるデバイスが向いています。

POCKETALK WかiliがどちらかといえばこのシーンにPOCKETALK Wが双方向対応で使いやすいですが、「伝える」場面が多い土産物店の案内係などにはiliも選択肢になります。

また小売店ではメニューや商品説明をカメラで翻訳できる機能が役立つ場面もあるため、Google翻訳アプリをサブとして併用するのも現実的です。

  • こんな選び方がおすすめ:双方向の会話が必要→POCKETALK W
  • 案内・説明が中心→ili
  • カメラ翻訳も使いたい→Google翻訳アプリを併用

宿泊施設(ホテル・旅館・民泊など)

宿泊施設はチェックイン・チェックアウト・施設案内・トラブル対応など、場面によって会話の長さや内容が大きく変わります。また24時間対応が求められることもあり、スタッフ全員が使いこなせるシンプルさが重要です。

POCKETALK Wが最も汎用性が高く、宿泊施設向けの導入事例も多い製品です。

民泊など小規模な施設でスタッフが一人の場合は、まずVoiceTraやGoogle翻訳アプリから始めて、外国人ゲストの対応頻度が増えてきたタイミングで専用デバイスへ移行するステップが現実的です。

  • こんな選び方がおすすめ:多様な場面に対応したい→POCKETALK W
  • 小規模施設でまず試したい→VoiceTra

屋外・移動販売・観光案内など

Wi-Fiが安定して使えない環境では、オフラインで動作するiliが最も安定しています。ただしiliは一方向翻訳のため、相手の返答を翻訳したい場面ではPOCKETALK W(SIM内蔵モデル)が適しています。

  • こんな選び方がおすすめ:通信環境がない屋外→ili
  • 双方向の会話が必要な屋外→POCKETALK W(SIM内蔵)

迷ったときの最終判断基準として、以下の一言まとめを参考にしてください。
「まず1台だけ導入するならPOCKETALK W、通信環境がない屋外ならili、コストゼロで試すならVoiceTra」

翻訳デバイス導入時のよくある質問

翻訳デバイスの導入を検討している店舗オーナーやスタッフの方から、よく寄せられる疑問をまとめました。購入前の参考にしてください。

Wi-Fiがない環境でも使えますか?

製品によって異なります。POCKETALK WはeSIM内蔵のため、Wi-Fiがなくてもモバイル通信で翻訳できます。

iliはインターネット接続が不要なオフライン専用設計のため、通信環境がまったくない場所でも使えます。

一方Google翻訳やVoiceTraはインターネット接続が必要なため、Wi-Fiのない環境では使えないか、精度が大幅に落ちる場合があります。

屋外や通信環境が不安定な場所での使用が多い場合は、POCKETALK W(SIM内蔵モデル)かiliを選ぶと安心です。

スマホアプリと何が違いますか?

最大の違いは操作のシンプルさとスピードです。スマホアプリは画面を開き、アプリを起動し、マイクボタンを押すという複数のステップが必要です。

接客中にこの操作をするとお客様を待たせてしまい、スムーズな接客の流れが止まってしまいます。

専用デバイスはボタンを押して話すだけという操作に特化しており、慣れていないスタッフでも直感的に使えます。

また専用デバイスはマイクの性能が接客シーンに最適化されているため、店内の雑音が多い環境でも音声認識の精度が比較的安定しています。

コストをかけずに試したい段階ではアプリで十分ですが、日常的に外国人客の対応が発生する店舗では専用デバイスの方が長期的に使いやすいです。

複数のスタッフで共有できますか?

POCKETALK Wやiliなどのハンドヘルドタイプはログインやアカウント設定が不要なため、スタッフ間で自由に共有できます。

レジに1台置いておいて必要なときに手に取る、という使い方が多くの店舗で行われています。

ただし繁忙時間帯に複数のスタッフが同時に外国人客を対応する可能性がある場合は、台数を増やすことを検討してください。

1台あたりの価格を考えると、2台目以降は同じ製品を追加購入するのが操作を統一できてスタッフが混乱しにくいです。

WT2 Edgeのようなイヤホン型は、イヤホン自体を衛生的に共有しにくい側面があるため、特定のスタッフが担当する運用に向いています。

翻訳の精度はどのくらいですか?

日常会話や接客でよく使うフレーズ(「いらっしゃいませ」「こちらのお席へどうぞ」「お会計はこちらです」など)については、現在の主要製品はおおむね実用的なレベルの精度に達しています。

ただし専門用語・方言・早口・強いなまりには対応が難しい場面もあります。

完璧な通訳を期待するというより、言葉の壁を最低限取り除くためのツールとして位置づけると、導入後のギャップが少なくなります。

まず1台試してみることが大切


ここまで翻訳デバイスの選び方から具体的な製品の特徴、店舗タイプ別のおすすめまでを解説してきました。最後に全体を振り返りながら、導入に向けた考え方を整理します。

翻訳デバイスは「完璧な通訳」ではなく「言葉の壁を下げるツール」

翻訳デバイスに過度な期待を持ちすぎると、導入後に「思ったより精度が低い」と感じてしまうことがあります。

現在の翻訳デバイスは、接客でよく使うシンプルなフレーズや短い会話であれば十分実用的なレベルに達しています。しかし複雑な説明や専門的な内容、方言や強いなまりへの対応はまだ完璧ではありません。

大切なのは「外国語が話せなくても、最低限の意思疎通ができる状態を作る」という視点です。その目的においては、翻訳デバイスは非常に有効な手段です。

完璧を目指すのではなく、言葉の壁を下げることで外国人客が「また来たい」と思える接客の入り口を作ることが、インバウンド対応の第一歩と考えてみてください。

迷ったらPOCKETALK Wから始めるのが無難

本記事で紹介した5つの製品の中で、初めて翻訳デバイスを導入する店舗に最もおすすめできるのはPOCKETALK Wです。

SIM内蔵で通信環境を選ばず、双方向翻訳対応で、操作もシンプルです。サポート体制や導入事例も豊富なため、初めての1台として安心感があります。

予算を抑えてまず試してみたい場合は、VoiceTraアプリをスタッフのスマートフォンに入れるところから始めるのも現実的な選択肢です。

実際に外国人客への対応頻度や場面を体感してから、専用デバイスへの移行を検討するという順番でも十分です。

導入のハードルは思っているより低い

翻訳デバイスの導入というと大げさに聞こえるかもしれませんが、設定や契約が不要な製品がほとんどです。

箱から出してすぐに使い始められるものが多く、スタッフへの説明も「このボタンを押して話しかけてください」で済む場合がほとんどです。

まずは1台購入して、外国人客が来店したときに試してみることから始めてみましょう。使っていくうちに自分の店舗に合った使い方が自然と見えてきます。

インバウンド対応は一度に完璧に整える必要はありません。小さな一歩の積み重ねが、外国人客に選ばれる店舗づくりにつながっていきます。

この記事を書いた人

旅行、観光、IT・Webマーケティングの仕事に25年ほど携わってきた40代。現在はインバウンド対応に悩む店舗・宿泊施設の方々に向けて、実際に使えるツールや方法をまとめています。導入コストや使い勝手を含めて丁寧に検証することを心がけています。