OTAに掲載すると、売上のどのくらいが手数料で引かれるの?
Booking.comやじゃらん・楽天トラベルなどの予約サイトに宿泊施設を掲載すると、外国人旅行者を含む多くの旅行者に自分の宿を見てもらえるようになります。
でも掲載するときに必ず出てくるのが「手数料」という言葉です。
売上から何パーセントかが引かれると聞いたけれど、実際にどのくらい引かれるのか・どのサイトが一番手数料が安いのか、よくわからないという経営者の方は多いと思います。
関連する記事 Booking.comに宿泊施設を登録する手順|外国人旅行者からの予約を受け付けるための基本設定
OTAとは「Online Travel Agent(オンライン旅行代理店)」の略で、インターネット上で宿泊施設の予約を仲介しているサービスのことです。
Booking.com・じゃらん・楽天トラベル・Airbnb・Expediaなどがその代表例です。
これらのサービスに宿泊施設を掲載すると、旅行者がサイト上で予約を入れてくれるようになりますが、予約が成立したときにサイトに支払う費用が手数料です。
手数料への不安から「OTAに掲載するのはもったいない」と感じる経営者の方もいます。
でも手数料の仕組みを正しく理解してみると、思っていたほど損をしているわけではないと感じることも多いです。
OTAに掲載することで、自分では決して届かなかった世界中の旅行者に宿を見てもらえるようになります。手数料はそのための費用と考えると、判断がしやすくなります。
大切なのは、複数のOTAの手数料の仕組みを正しく理解して、自分の宿に合ったサービスを選ぶことです。
手数料の割合が低いOTAが必ずしも一番良いとは限りません。集客力・外国人旅行者への対応・使いやすさなど、手数料以外の部分も含めて比べることで、本当に自分の宿に合ったOTAを選べるようになります。
OTAの手数料の仕組みをやさしく説明する
OTAの手数料について、難しい言葉を使わずにわかりやすく説明します。
手数料とは何か
手数料とは、OTAのサービスを使って予約を受け付けたときに、OTAに支払うお金のことです。
旅行者が自分の宿に予約を入れてくれたとき、宿泊料金の全額が自分の手元に入るわけではなく、一定の割合がOTAに支払われます。
例えば手数料が15%のOTAを使って、1泊10,000円の部屋に予約が入ったとします。
この場合、10,000円の15%である1,500円がOTAへの手数料として引かれて、自分の手元には残りの8,500円が入ってきます。
手数料は「売上に対して何パーセントか」という形で決まっていることがほとんどです。そのため予約が入らなければ手数料はかかりません。
OTAに掲載しているだけで毎月固定の費用がかかるわけではなく、実際に予約が成立したときだけ費用が発生する仕組みです。
手数料はいつ・どのように引かれるか
OTAによって手数料の引かれ方は少し違いますが、大きく分けて2つのパターンがあります。
一つ目は、旅行者が宿泊した後にOTAからまとめて精算される方法です。
月ごとにまとめて精算されることが多く、宿泊料金から手数料を引いた金額が施設の口座に振り込まれます。Booking.comやじゃらん・楽天トラベルはこの方法が基本です。
二つ目は、OTAが旅行者から宿泊料金を受け取り、手数料を引いた分だけを施設に支払う方法です。旅行者がOTAのサイト上でカード決済した場合に、この方法がとられることがあります。
どちらの方法でも、自分が受け取る金額は「宿泊料金から手数料を引いた分」になります。
手数料以外にかかる費用はあるか
基本的にOTAへの掲載費用は手数料だけで、登録費用や月額の固定費はかからないサービスがほとんどです。
ただしOTAによっては、検索結果の上位に表示してもらうための広告オプション(有料)が別途用意されているものもあります。こうした有料オプションは必須ではなく、使うかどうかは自分で決められます。
また消費税の扱いについても注意が必要です。OTAに支払う手数料は、消費税の課税対象になる場合があります。
経理処理の際には、手数料に消費税が加算されているかどうかを確認しておきましょう。詳しくは税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
主要OTAの手数料を比較する
各OTAの手数料の目安を整理しました。手数料は施設の規模・掲載内容・オプションの選択などによって変わることがあります。
契約前に必ず各OTAの公式サイトで最新情報を確認してください。本記事は2026年6月時点の情報です。
Booking.comの手数料
Booking.comの手数料は基本的に15%前後が目安とされています。
ただし「プリファードプログラム」と呼ばれる上位表示プランを利用すると、手数料が最大20%程度になることがあります。
プリファードプログラムは検索結果で上位に表示されやすくなるオプションで、任意で加入できます。
Booking.comは世界中の旅行者が使うサイトのため、特に外国人旅行者からの予約を増やしたい施設にとっては集客力が高いOTAです。
手数料は高めですが、外国人旅行者にリーチできる点でのメリットが大きいサービスです。
じゃらんの手数料
じゃらんの手数料は8〜10%前後が目安です。楽天トラベルと並ぶ国内最大級の旅行予約サイトで、特に国内旅行者への集客力が強いサービスです。
じゃらんでは掲載プランのランクによって手数料が変わる仕組みがあります。また独自のポイント制度があり、旅行者へのポイント付与分は一部施設側の負担になることがあります。
ポイントを多く付けるほど検索結果で上位に表示されやすくなりますが、その分のコストも考慮が必要です。
楽天トラベルの手数料
楽天トラベルの手数料も8〜10%前後が目安です。じゃらんと並んで国内旅行者への集客力が高く、楽天ポイントを使って予約したいというユーザーが多い点が特徴です。
楽天トラベルも独自のポイント制度があり、基本ポイント(1〜2%)は基本手数料に含まれていますが、追加のボーナスポイントを付けるかどうかは施設側が設定できます。
ポイント付与率を上げると検索順位が上がりやすくなりますが、実質的なコストも増えるため、収益のバランスを見て設定することが大切です。
Airbnbの手数料
Airbnbのホスト(施設側)の手数料は2025年第4四半期から新しいモデルに移行しており、15.5%前後が目安とされています。
民泊・ゲストハウスなど個性的な体験を提供する小規模施設との相性が良いOTAです。
世界中のユーザーが使うサービスのため外国人旅行者からの予約が集まりやすく、特に欧米・アジア圏からの旅行者に人気があります。
Expediaの手数料
Expediaの手数料は15〜20%前後が目安です。アメリカ発のOTAで、特に欧米からの旅行者に使われているサービスです。
Booking.comと並んで外国人旅行者向けの集客力が高く、英語圏・欧米圏の旅行者を取り込みたい施設に向いています。
手数料を差し引いた後の実際の手取り額を計算してみる
各OTAの手数料がどのくらい違うのかを、実際の金額で計算して比べてみます。1泊10,000円の部屋に1件の予約が入った場合を例に整理しました。
1泊10,000円の予約が入ったときの手取り額の比較
じゃらんと楽天トラベルは手数料が8〜10%前後のため、手数料800〜1,000円が引かれて手取りは9,000〜9,200円程度になります。
Booking.comは手数料が15%前後のため、手数料1,500円が引かれて手取りは8,500円程度になります。
プリファードプログラムを使った場合は手数料が最大20%になるため、2,000円が引かれて手取りは8,000円程度になります。
Airbnbは手数料が15.5%前後のため、手数料1,550円が引かれて手取りは8,450円程度になります。
Expediaは手数料が15〜20%前後のため、手数料1,500〜2,000円が引かれて手取りは8,000〜8,500円程度になります。
この比較を見ると、じゃらんと楽天トラベルは1件あたりの手取り額が多く、Booking.com・Airbnb・Expediaは手取り額が少なくなることがわかります。
月に30件の予約が入った場合のシミュレーション
1泊10,000円の予約が月に30件入った場合、売上の合計は30万円です。この売上に対して各OTAの手数料を計算すると次のようになります。
じゃらん・楽天トラベル(手数料10%の場合)は手数料が3万円で手取りが27万円です。
Booking.com(手数料15%の場合)は手数料が4万5,000円で手取りが25万5,000円です。
Airbnb(手数料15.5%の場合)は手数料が4万6,500円で手取りが25万3,500円です。
Expedia(手数料20%の場合)は手数料が6万円で手取りが24万円です。
じゃらん・楽天トラベルとExpediaを比べると、月の手取り額の差は3万円になります。1年間で考えると36万円の差になります。
この差は決して小さくないため、どのOTAを使うかは収益に大きく影響することがわかります。
ポイント付与を考えると実質の手数料はさらに変わる
じゃらんや楽天トラベルは独自のポイント制度があります。
旅行者にポイントを多く付けるほど検索結果で上位に出やすくなりますが、ポイント付与分も施設側の負担になることがあります。
例えば楽天トラベルで基本手数料10%に加えて旅行者へのボーナスポイント5%を設定した場合、実質的な手数料は15%程度になります。この場合はBooking.comと同程度のコストになります。
じゃらん・楽天トラベルは手数料が安く見えますが、ポイント付与の設定によっては実質コストが変わることを覚えておきましょう。
手数料だけで選ばない方がいい理由
手数料の金額だけを見てOTAを選ぶと、思っていた結果が得られないことがあります。手数料以外の部分も合わせて考えることが、自分の宿に合ったOTAを選ぶための大切な視点です。
集客力と手数料のバランスで考える
手数料が安くても、そのOTAを使っている旅行者の数が少なければ予約は入りません。
逆に手数料が高くても、世界中の旅行者が使うOTAに掲載することで、これまで届かなかった旅行者から予約が入るようになる可能性があります。
例えばじゃらんや楽天トラベルは手数料が安いですが、利用しているのは主に国内の日本人旅行者です。
外国人旅行者を増やしたい施設にとっては、手数料が高くてもBooking.comやExpediaに掲載する方が目的に合っています。
手数料の安さだけを基準にするのではなく、そのOTAにどんな旅行者が集まっているかを確認したうえで選ぶことが大切です。
自分の宿に泊まってほしい旅行者がよく使うOTAを選ぶことが、集客の近道になります。
外国人旅行者向けと国内旅行者向けで使い分ける
一つのOTAだけに絞るのではなく、外国人旅行者向けと国内旅行者向けで使い分けることが効果的な場合もあります。
外国人旅行者からの予約を増やしたい場合はBooking.comやAirbnb・Expediaを使い、国内旅行者からの予約はじゃらんや楽天トラベルで受け付けるという組み合わせが、多くの宿泊施設で実践されています。
それぞれのOTAが得意とする旅行者層を理解したうえで使い分けることで、手数料を無駄に多く払わずに集客の幅を広げることができます。
複数のOTAを組み合わせる方法
複数のOTAに同時に掲載することで、より多くの旅行者にリーチできます。ただし複数のOTAを使うときは、在庫管理に注意が必要です。
同じ日に複数のOTAから予約が入ってしまうダブルブッキングを防ぐために、各OTAの在庫を毎日手動で更新するか、サイトコントローラーというツールを使って在庫を自動で同期することが大切です。
複数のOTAを使い始める場合は、まず1〜2つのOTAから始めて管理の流れに慣れてから、徐々に追加していくという進め方が現実的です。
最初から多くのOTAに掲載すると、在庫管理の手間が増えてトラブルにつながりやすくなります。
また2026年現在、上手くOTAを活用している宿泊施設は、OTAを「新しいお客様と出会うための入口」として使いながら、一度泊まってもらったお客様には次回から自社サイトや電話での直接予約をお願いするという方法で、手数料がかからない予約を増やす工夫をしています。
長期的には自社での直接予約の割合を増やしていくことが、収益を安定させる近道です。
よくある質問
OTAの手数料について、よく寄せられる疑問をまとめました。
手数料は交渉できますか?
OTAによって異なりますが、じゃらんや楽天トラベルなど国内OTAは、施設の規模や予約数・売上実績によって手数料の交渉ができる場合があります。
予約数が多い施設や、長期間にわたって安定した実績がある施設は、担当者に相談することで手数料を下げてもらえるケースがあります。
Booking.comやExpediaなどの海外OTAは、基本的に手数料が決まっていて個別の交渉は難しいことが多いです。
ただしプログラムの種類を変えることで実質的な手数料を調整できる場合があります。
手数料の交渉をするときは、自分の施設の予約数・口コミのスコア・売上実績をデータとして示すと交渉がしやすくなります。定期的にOTAの担当者とコミュニケーションをとっておくことも大切です。
手数料を払いたくない場合はどうすればいいですか?
手数料を払わずに予約を受け付けたい場合は、自社予約の仕組みを作ることが必要です。
自社のホームページに予約フォームを設置して、OTAを通さずに直接予約を受け付けることで、手数料がかからない予約を増やすことができます。
ただし自社予約だけで集客するには、ホームページへの集客に費用と時間がかかります。
全くOTAを使わない状態から自社予約だけで予約を集めることは、特に知名度が低い段階では難しいです。
現実的な方法として、まずOTAで宿の存在を多くの旅行者に知ってもらい、一度泊まってもらったお客様に「次回は直接予約でお得に泊まれます」と伝えることで、少しずつ手数料がかからない自社予約の割合を増やしていくという進め方をお勧めします。
OTAの手数料は経費として計上できますか?
はい、OTAに支払う手数料は事業の経費として計上できます。税務上は「支払手数料」または「広告宣伝費」として処理することが一般的です。
手数料は確定申告や法人税の申告のときに経費として差し引くことができるため、実際の負担額は手数料の金額よりも少なくなります。
例えば手数料が1万円かかった場合でも、所得税率が20%の事業者であれば実質的な負担は8,000円程度になります。
経費の処理方法については、事業の規模や形態によって変わるため、詳しくは税理士や会計士などの専門家に相談することをお勧めします。
各OTAからは手数料の明細が記載された書類が発行されるため、大切に保管しておきましょう。
手数料は「集客のための費用」と考えてOTAを選ぶ
ここまでOTAの手数料の仕組みから主要OTAの手数料比較、手取り額のシミュレーション、選び方のポイントまで解説してきました。最後に全体を振り返ります。
手数料の安さだけで選ぶと集客の機会を逃す
じゃらんや楽天トラベルは手数料が8〜10%前後と低めですが、利用しているのは主に国内の日本人旅行者です。
外国人旅行者を増やしたい施設がじゃらんや楽天トラベルだけに掲載しても、外国人旅行者からの予約はなかなか増えません。
手数料が15%前後と高めのBooking.comやExpediaは、世界中の旅行者が使うサービスのため、外国人旅行者への集客力が段違いに高いです。
手数料の安さだけを理由にOTAを選ぶのではなく、そのOTAにどんな旅行者が集まっているかを合わせて確認することが大切です。
手数料は広告費と同じと考える
OTAに支払う手数料は、宿の存在を世界中の旅行者に知らせるための広告費と考えると判断しやすくなります。
テレビCMや雑誌広告と違って、OTAの手数料は予約が入ったときだけ発生するため、予約が入らなければ費用はかかりません。
この仕組みは、広告を出しても効果がなかったときでも費用がかかってしまう従来の広告とは大きく違う点です。
手数料を「引かれる費用」と感じるのではなく「集客のための成功報酬」と考えることで、OTAを使う判断がしやすくなります。
まず1〜2つのOTAから始めて少しずつ広げていく
最初からすべてのOTAに掲載しようとすると、在庫管理や口コミへの返信など、管理の手間が一気に増えてしまいます。
まずBooking.comとじゃらんまたは楽天トラベルの1〜2つから始めて、管理の流れに慣れてきた段階でAirbnbやExpediaを追加していくという段階的な進め方が現実的です。
OTAを使いながら宿の口コミが増えて知名度が上がってきたら、自社での直接予約の仕組みを作ることも検討してみましょう。
長期的には自社予約の割合を増やすことが、手数料の負担を減らして収益を安定させる一番の近道です。


