茨城県ってどんなところ?基本情報とインバウンドから見た魅力
茨城県と聞いて、何を思い浮かべますか。日本三名瀑の1つに数えられる袋田の滝、広大な花畑が広がる国営ひたち海浜公園、そして日本一の大きさを誇る牛久大仏。
関東地方の北東部に位置するこの県には、都会からのアクセスの良さと、豊かな自然の両方が揃っています。
県庁所在地は水戸市で、旧国名では、県の大部分が常陸国と呼ばれ、南西部の一部は下総国に含まれていました。
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茨城県は、東京から特急列車や高速道路を使えば、1時間から2時間ほどでアクセスできる、首都圏近郊の県です。
太平洋に面した鹿行地域から、水戸の城下町、そして筑波山のそびえる県西部まで、変化に富んだ地形が広がっています。
茨城空港からは、台湾との国際線が就航しており、東京とは違う魅力を持つ観光地として、海外からの注目も少しずつ高まっています。
数字を見ると、茨城県のインバウンドは、着実な伸びを見せています。2024年、茨城県の外国人延べ宿泊者数は26万830人泊となり、過去最高を更新しました。
国や地域別に見ると、台湾と韓国からの宿泊者数が、ともに過去最高を記録しています。
中でも台湾は、茨城県を訪れる外国人観光客の中で最も多く、県はタレントを起用したプロモーションや、台北でのイベント開催など、力を入れたPR活動を展開しています。
2025年1月には、台北駅で開催されたPRイベントに3日間で約5万2000人が来場するなど、その取り組みは着実に実を結んでいます。
茨城空港と台湾を結ぶチャーター便は、2025年5月から定期便化されました。
これにより、これまで以上に多くの台湾からのお客さまが、茨城県を訪れやすくなっています。
東京から近いという立地の良さを持ちながら、まだ全国的な知名度では伸びしろが残る茨城県だからこそ「知る人ぞ知る絶景」を求める旅行者の心をつかむ、大きなチャンスがあります。
国営ひたち海浜公園の花畑、袋田の滝の迫力、そして牛久大仏のスケール。こうした茨城県ならではの魅力を、これからどう世界に届けていくかが、大きな鍵になります。
茨城県を代表する自然と景勝地
茨城県には、日本三名瀑の迫力と、水戸藩ゆかりの学びの場、そして関東平野にそびえる霊峰まで、心を打つ景色と歴史があふれています。
袋田の滝(四度の滝・日本三名瀑) ふくろだのたき
袋田の滝は、久慈川の支流である滝川にかかる、高さ120メートル、幅73メートルという規模を誇る、日本三名瀑の1つです。
今からおよそ1500万年前の火山活動によって流れ出た溶岩が、周囲の地層よりも浸食に強かったことから、これほど大規模な滝が作り出されました。
大岩壁を4段になって流れ落ちることから「四度の滝」という別名でも呼ばれています。
平安時代の歌僧、西行法師がこの地を訪れた際、四季それぞれに一度ずつ訪れなければ、本当の趣は味わえないとまで絶賛したという言い伝えが残っており、この別名の由来になったとも言われています。
滝を正面から見上げる観瀑台と、上から見下ろせる第2観瀑台が整備されており、角度の違う2つの表情を楽しむことができます。冬には滝全体が凍りつく「氷瀑」という、幻想的な姿を見せてくれることもあります。

奥久慈渓谷 おくくじけいこく
奥久慈渓谷は、茨城県の最北西部、大子町を流れる久慈川沿いに広がる渓谷です。
国道118号線とJR水郡線が、川と並走するように続くこの一帯は、清らかな流れと関東一とも称される鮎の恵みに支えられた、変化に富んだ景観を持っています。
特に秋になると、カエデやクヌギ、ナラといった木々が山の斜面いっぱいに色づき、久慈川の清流と燃えるような紅葉が織りなすコントラストは、見る者を圧倒するスケールです。
渓谷沿いをドライブしながら、絶景と奇景が連続する景色を楽しめることも、この渓谷ならではの魅力です。
奥久慈しゃもや奥久慈りんごといった、この土地ならではの味覚とあわせて、旬の恵みを味わうことができます。
偕楽園(徳川斉昭・日本三名園) かいらくえん
偕楽園は、水戸市にある、日本三名園の1つに数えられる大名庭園です。
1842年、水戸藩9代藩主である徳川斉昭が「領民とともに楽しむ」という理念のもと開園しました。この理念は「偕楽園」という名前そのものにも込められています。
園内には、100種3000本ともいわれる梅の木が植えられ、2月から3月にかけて開催される「水戸の梅まつり」の時期には、多くの人でにぎわいます。
徳川斉昭自らが設計に関わったとされる好文亭からは、隣接する千波湖を一望することができ、静と動、陰と陽が織りなす、江戸時代の大名庭園ならではの奥深い趣を感じることができます。
弘道館(水戸藩藩校) こうどうかん みとはんはんこう
弘道館は、水戸市にある、水戸藩9代藩主の徳川斉昭が、1841年に開設した藩校です。
「教育によって人心を安定させ、教育を基盤として国を興す」という建学の精神のもと、儒学を基礎に、文武の両方を磨く教育が行われていました。
最後の将軍である徳川慶喜も、幼少期にこの弘道館で学び、大政奉還のあとには、この地で謹慎生活を送ったと伝えられています。
入学した水戸藩の子弟たちには入試が課され、生涯教育を原則として卒業という概念がなかったことも、当時としては大変先進的な仕組みでした。
幾度もの戦火を免れた正門や正庁、至善堂は、国の重要文化財に指定されています。
偕楽園とあわせて「近世日本の教育遺産群」の構成文化財として、日本遺産にも認定されており、江戸時代の学びの空気を、今に伝えています。
筑波山 つくばさん
筑波山は、茨城県の中南部にそびえる、標高877メートルの名山です。
標高3776メートルの富士山と比べると、高さはおよそ4分の1ほどしかありませんが、古くから「西の富士、東の筑波」と並び称されるほど、その美しい姿が愛されてきました。
奈良時代に編まれた万葉集にも、この山を詠んだ歌が25首も収められています。
男体山と女体山という2つの頂を持つ双耳峰であることも、筑波山ならではの特徴です。日本百名山の中でも最も標高が低い山でありながら、その品格と歴史、個性が高く評価され、選定されました。
ケーブルカーやロープウェイを使えば、登山初心者でも山頂近くまで気軽に登ることができ、女体山の山頂に立てば、関東平野を見わたす雄大なパノラマが広がります。
山肌が朝は藍色、昼は緑、夕方には紫色へと変化することから「紫峰」という美しい別名でも親しまれています。
ガマの油売り
ガマの油売りは、筑波山地方に伝わる、独特の口上を語りながら演じる、伝統の大道芸です。
江戸時代、徳川家康に仕えていた筑波山中禅寺の住職が、大阪の陣で、筑波山のガマから採れる油を救急薬として使い、その効果が評判になったことが、この芸能の由来だと伝えられています。
やけどやひび、あかぎれ、切り傷に効くとされたガマの油は、江戸から明治にかけて、縁日などで売られていました。
今では薬事法の規制により、実際に油を売ることはできませんが、当時の口上と身振り手振りを、伝統芸能としてそのまま受けついでいます。
呼び込みから始まり、原料や製造方法の説明、そして刀で腕を切る仕草を交えた効能の実演まで、7つの段落からなる語りは、観客とのかけあいも交えながら、聞く人を飽きさせません。
地元の高校生や、子どもたちによる継承活動も行われており、筑波山ならではの、話芸としての奥深さを、今に伝え続けています。
潮来 いたこ
潮来は、霞ヶ浦や北浦、常陸利根川に囲まれた、水郷情緒あふれる町です。
三方を水に囲まれたこの地には、水路が縦横に張りめぐらされ、昭和30年代までは、花嫁やその嫁入り道具を、サッパ舟と呼ばれる小舟で運ぶことが、日常の光景でした。
毎年5月下旬から6月下旬にかけて開催される「水郷潮来あやめまつり」では、約500種100万株のあやめや花菖蒲が一斉に咲きほこります。
この期間だけ、かつての嫁入りの様子を再現した「嫁入り舟」が復活し、伝統的な花嫁衣装に身を包んだ本物の花嫁が、あやめ咲き乱れる水路を舟で渡っていきます。
橋の上から観光客が「おめでとう」と声をかける、あたたかな祝福ムードに包まれるこの光景は、水郷ならではの、他では見られない特別な風物詩です。
鹿島神宮 かしまじんぐう
鹿島神宮は、鹿嶋市にある、日本建国と武道の神である武甕槌大神を祀る、由緒ある神社です。伝承によれば、初代神武天皇の時代に創建されたと伝えられ、全国に約600社ある鹿島神社の総本社にあたります。
東京ドーム15個分にもおよぶ広大な境内には、水戸藩初代藩主の徳川頼房が奉納した、朱塗りの壮麗な楼門がそびえ、日本三大楼門の1つに数えられています。
境内奥には、徳川家康が関ヶ原の戦いに勝利したお礼として奉納した奥宮があり、その先には、地震を起こすとされる大鯰を押さえていると伝わる霊石「要石」が鎮座しています。
地中深くまで続き、決して抜くことができないと語り継がれてきたこの石は、水戸光圀が家来に掘らせても、根元にたどり着けなかったという逸話でも知られています。
古代から国の守護神として、そして武士たちからは勝利の神として崇められてきた、東国随一の霊験あらたかな神社です。

霞ヶ浦 かすみがうら
霞ヶ浦は、茨城県南部に広がる、琵琶湖に次いで日本第2位の面積を誇る湖です。周囲の長さはおよそ249.5キロメートルにおよび、これは琵琶湖を上回る日本一の長さです。
桜川や恋瀬川の下流部が沈みこんだ場所に海水が流れこみ、鬼怒川が運んだ土砂によって出口がせき止められることで、この広大な湖が形作られました。
古代から水運が盛んで、江戸時代には、江戸への物流を支える大切なルートとしても栄えてきました。
かつて操業していた、風の力を利用する伝統漁法「帆引き船」は、今では観光帆引き船として夏から秋にかけて復活し、湖上を優雅に進む帆の姿が、風物詩として親しまれています。
全長125キロメートルにおよぶサイクリングコース「つくば霞ヶ浦りんりんロード」も整備されており、湖を眺めながらのサイクリングを楽しむこともできます。
大洗海岸 おおあらいかいがん
大洗海岸は、太平洋に面した、大洗町を代表する景勝地です。海岸沿いの高台には、856年に創建されたと伝わる大洗磯前神社が鎮座し、その最大の見どころが、神が降り立ったとされる岩礁に立つ「神磯の鳥居」です。
朝日が鳥居の真ん中から昇り、太平洋の荒波が岩礁に打ちつけて白く砕ける光景は、まさに神々しいのひと言に尽きます。
多くの写真愛好家が、この瞬間を撮影しようと、早朝から詰めかけます。毎年元日には、神職がこの神磯に降り立ち、初日の出を拝む「初日の出奉拝式」が執り行われることでも知られています。
アニメーション作品の舞台としても親しまれ、国内外から多くのファンが訪れる、大洗町のシンボルです。
竜神大吊橋 りゅうじんおおつりばし
竜神大吊橋は、常陸太田市にある、竜神峡に架けられた、歩行者専用としては国内最大級の吊り橋です。断崖絶壁が続くV字形の渓谷に架かるこの橋は、全長375メートルという規模を誇ります。
橋の上に立てば、360度の巨大なパノラマが広がり、特に紅葉の季節には、燃えるように色づいた渓谷全体を見わたす、息をのむ絶景が楽しめます。
近年では、高さ100メートルという国内ナンバーワンの規模を誇るバンジージャンプでも知られるようになりました。
古くから紅葉の名所として人々に親しまれてきたこの場所は、スリルと絶景の両方を、あわせて味わえる貴重なスポットです。
茨城県ならではの祭りと伝統行事
茨城県には、一面を青く染める花畑や、江戸時代から続く陶芸の里、そして日本が世界に誇る絹織物まで、心を打つ魅力があふれています。
国営ひたち海浜公園(花の名所。ネモフィラ、水仙、コスモスなど)
国営ひたち海浜公園は、ひたちなか市にある、東京ドームおよそ41倍にもおよぶ広大な敷地を持つ、花と緑の公園です。
花畑や水のステージが広がる西口エリア、家族連れに人気の遊園地があるプレジャーガーデンエリア、海に面した砂丘エリア、太平洋を見わたせるみはらしエリアなど、7つのエリアに分かれ、季節ごとにまったく違う魅力を見せてくれます。
この公園を象徴する景色が、春に「みはらしの丘」一面を埋めつくす、約450万本のネモフィラです。
青い花と、青い空、そして太平洋がひとつに溶けあうような光景は、アメリカのCNNが選ぶ「日本の最も美しい場所」にも選ばれるほどの絶景です。
秋になると、同じ丘が今度はモコモコとした形のコキアで覆われ、深紅に色づく大地へと姿を変えます。
スイセンやチューリップ、コスモスといった花々も、季節を追うように咲き継いでいき、1年を通じて訪れるたびに新しい発見がある、花の楽園です。
笠間焼 かさまやき
笠間焼は、笠間市周辺で作られる、関東地方でも最も古い歴史を持つ焼き物の1つです。
江戸時代中期の1770年代、箱田村の名主であった久野半右衛門が、信楽焼の陶工から指導を受けて窯を築いたことが、その始まりだと伝えられています。
やがて笠間藩の保護のもと、甕やすり鉢といった日用品を生産する「仕法窯」として発展し、江戸に近いという立地の良さから、幕末から明治にかけて、大きく産地としての規模を拡大しました。
栃木県の益子焼は、この笠間で技術を学んだ陶芸家が開いた窯がもとになっており、笠間焼と益子焼は、いわば兄弟のような関係にあります。
古いしきたりにとらわれず、日用品から芸術的なオブジェまで、幅広い作風を受け入れる自由な気風も、この産地ならではの特徴です。
人間国宝の陶芸家をはじめ、今では300人近くの陶芸家や窯元が集まる、活気ある焼き物の里になっています。
結城紬 ゆうきつむぎ
結城紬は、結城市を中心とした地域で織られてきた、日本最古の歴史を持つといわれる高級絹織物です。
1300年以上の歴史を持ち、奈良時代にはすでにこの地の特産品として発展していたと伝えられています。
平安時代には貴族の衣服として、室町時代には武士の間で愛用されるようになり、江戸時代に入ると、水戸藩の保護のもと、質の高い織物として全国に広まりました。
結城紬の最大の特徴は、すべての工程が手作業によって行われるということです。中でも「糸つむぎ」「絣くくり」「地機織り」という3つの工程は、1956年に国の重要無形文化財に指定されました。
繭から作った真綿を、指先だけで細く均一に紡いでいく糸つむぎの技術は、世界的にも大変珍しいものです。
撚りをかけない糸で織り上げるため、たっぷりと空気を含んだ、ふんわりと軽くて温かい風合いが生まれます。
縦糸を織り手が腰で吊りながら手作業で織る「地機」という古式の織機を使うことも、大きな特徴です。2010年には、ユネスコ無形文化遺産にも登録され、日本が世界に誇る、伝統の技が息づく織物です。
茨城県のオススメの食べ物
茨城県のグルメで真っ先に挙げたいのが、水戸納豆です。
日本一の生産量を誇り、水戸藩の時代から親しまれてきた小粒の納豆は、独特の粘りと風味が格別。朝食で味わえば、茨城県に来たことを実感できる一品です。

海の幸なら、あんこう鍋を絶対に外せません。冬場の茨城県北部、大洗や那珂湊で水揚げされるあんこうを、味噌仕立てのだしでじっくり煮こんだこの鍋は「西のふぐ、東のあんこう」と称されるほどの美味です。
捨てる部分がないと言われるあんこうを、余すことなく味わえる贅沢な鍋料理です。
肉料理なら、常陸牛が格別です。日本三大和牛にも劣らないと評される、きめ細かな霜降りと上品な甘みは、すき焼きやステーキで堪能する価値があります。
奥久慈しゃもも見逃せません。ゆっくりと時間をかけて育てられたこの地鶏は、噛むほどに旨味が広がる、しっかりとした歯ごたえが魅力です。
野菜好きなら、水戸市が発祥の水戸メロンをぜひ。とろけるような果肉と、あふれる果汁は、初夏の楽しみの1つです。
れんこんの生産量も日本一を誇り、シャキシャキとした食感を生かした天ぷらやきんぴらは、茨城県の食卓に欠かせない存在です。
そして、大子町の郷土料理である凍みこんにゃくも、ぜひ味わってほしい一品です。
冬の寒さを利用して作られる、この土地ならではの伝統食で、独特のスポンジのような食感が楽しめます。
茨城県は、海の幸も山の幸も、そして日本一の食材まで、すべてが力強く詰まった、食の宝庫だと言えます。


