熊本県[肥後・ひご]の勢いは明らかです。2025年、熊本市を訪れた観光客数は約655万人となり、2年連続で過去最高を更新しました

熊本県ってどんなところ?基本情報とインバウンドから見た魅力

熊本県と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、雄大な阿蘇の景色や、熊本城の力強い姿ではないでしょうか。

九州の中央に位置するこの県は、豊かな自然と深い歴史、そして近年は世界的な半導体産業の進出という、新しい時代の風も吹きこんでいる、変化と魅力に富んだ土地です。

熊本県は、阿蘇くまもと空港を持ち、九州新幹線も通っているため、国内外からのアクセスがとても良い場所です。

近年、この空の玄関口に大きな変化が起きています。世界的な半導体メーカーであるTSMCが熊本に進出したことをきっかけに、台湾をはじめとしたアジア各国との交流が一気に活発になったのです。

これにともなって、阿蘇くまもと空港では国際線の新規就航や増便が相次ぎ、観光にも大きな追い風となっています。

数字を見ても、熊本県の勢いは明らかです。2025年、熊本市を訪れた観光客数は約655万人となり、2年連続で過去最高を更新しました。

延べ宿泊者数は約418万人、その中でも外国人の延べ宿泊者数は約115万人にのぼり、前の年と比べて29.7%も増えています。これもまた、過去最高の数字です。

外国人観光客の内訳を見ると、台湾、中国、韓国、香港という東アジア4つの国と地域だけで、全体のおよそ7割をしめています。

半導体関連企業の集積によって、ビジネスの往来から観光へとつながる流れが生まれていることも、熊本県ならではの特徴だと言えます。

また、近年はアニメの舞台を目当てに訪れる外国人観光客が目立つことも、熊本県の新しい魅力として注目されています。

熊本県には、世界最大級のカルデラを持つ阿蘇の雄大な自然や、日本三名城に数えられる熊本城、そして黒川温泉のような情緒あふれる温泉地まで、地域ごとにまったく違う魅力が広がっています。

九州におけるインバウンド受け入れの新しいハブとして、熊本県はこれから、さらに大きな役割を担っていく可能性を秘めています。

熊本県の観光地紹介

熊本県には、雄大な自然が作り出したカルデラや、歴史の重みを今に伝える名城、そして体をいやす温泉地まで、魅力的な観光地が数多くあります。まずは前半の5か所をご紹介します。

阿蘇山

阿蘇山は、熊本県のシンボルとも言える巨大な火山です。

約27万年前から約9万年前にかけて起きた4回の巨大な噴火によって、東西18キロメートル、南北25キロメートルという、世界でも有数の規模を誇るカルデラが作られました。

カルデラの中には今も約5万人の人々が暮らしており、田園風景の広がるこの場所は「人が住むカルデラ」として、世界的にも珍しい地形です。

カルデラの中央には、標高1500メートルを超える阿蘇五岳がそびえ、中でも中岳は、今も噴煙を上げ続ける活火山です。

阿蘇山ロープウェーや阿蘇山公園道路を使えば、火口を間近に見ることができ、大地が今も生きているという迫力を肌で感じられます。

外輪山の一部である大観峰からは、左右に連なる雄大なカルデラの壁と、眼下に広がる田園風景を一望できる、息をのむような景色が広がっています。

内牧温泉

内牧温泉は、阿蘇のカルデラの中にある温泉地です。明治時代から130年もの歴史を持ち、約80もの源泉が湧き出る、阿蘇の中でも最大規模の温泉街です。

文豪たちに愛された伝統的な和風旅館から、家族向けの旅館まで、さまざまなタイプの宿泊施設がそろっています。

阿蘇観光の起点として便利な立地にあり、温泉街を歩けば、多くの店が立ち並ぶにぎやかな雰囲気を味わえます。

周辺には美しい牧草地が広がり、トレッキングやサイクリング、乗馬や気球といった、大自然を舞台にしたアクティビティも豊富に用意されています。

黒川温泉

黒川温泉は、阿蘇の外輪山の北側、南小国町にある温泉地です。標高700メートルの山あいにあり、懐かしさを感じさせる旅館が建ち並んでいます。

江戸時代には、参勤交代の中継地として、大名や旅人たちの疲れをいやしてきた歴史ある温泉地でもあります。

黒川温泉の最大の魅力は、温泉街全体を「1つの旅館」ととらえるという、独自のコンセプトです。

「入湯手形」と呼ばれるチケットを購入すれば、参加している旅館の露天風呂を3か所までめぐることができます。

この手形は2026年7月時点で、大人1枚1500円となっており、時期によって内容が変わることがあります。

この取り組みが高く評価され、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンでも二つ星を獲得しました。

昔ながらの湯治場の雰囲気が残る路地を、浴衣に身を包んだ観光客がそぞろ歩く光景は、日本の温泉文化を象徴する景色だと言えます。

菊池温泉

菊池温泉は、昭和29年に湧き出た、比較的歴史の浅い温泉です。もうもうと立ちこめる湯煙の中に現れた白龍のお告げによって掘り当てられたという、伝説も残っています。

アルカリ性で無色透明な湯質は、肌にやわらかくなじむことから「美肌の湯」「化粧の湯」とも呼ばれ、多くの女性観光客から支持されています。

菊池の街は、平安時代から450年にわたって菊池氏が治めてきた城下町でもあります。湯上がりに町を散策すれば、史跡や昔ながらの町割りから、歴史情緒を感じることができます。

近くには、阿蘇からの伏流水が作り出す美しい菊池渓谷もあり、温泉と自然を両方楽しめる場所です。

熊本城

熊本城は、東京ドームおよそ21個分という広大な敷地を持つ、日本を代表する名城です。豊臣秀吉に仕え、築城の名手として知られた加藤清正が、1601年から7年の歳月をかけて築きました。

熊本城最大の特徴は「武者返し」と呼ばれる石垣です。下の方はゆるやかな傾斜で登れそうに見えますが、上に向かうほど反り返りが激しくなり、身軽な忍者でさえも登れないほど巧妙に作られています。

1877年の西南戦争では、この堅固な守りが西郷軍の攻撃を防ぎきり、270年以上前に建てられた城が、近代的な戦にも耐えられることを証明しました。

加藤清正は、治水工事や水田の開発など、領地の発展にも力をつくしたことから、今も熊本県民から「清正公さん」と呼ばれ、親しまれています。

夏目漱石記念館

夏目漱石記念館は、明治時代の文豪、夏目漱石が熊本で暮らした旧居を公開している施設です。

漱石は1896年に、当時の第五高等学校の英語教師として熊本に赴任しました。約4年3か月の在熊期間中、なんと6回も引っ越しをしており、この記念館は6番目の旧居にあたり、漱石はここで1年8か月を過ごしました。

館内には、漱石が残した原稿のレプリカや、五高時代の写真などが展示されています。

漱石は熊本滞在中に多くの俳句や作品を残しており、後の名作にも、熊本での暮らしの影響が色こく反映されていると言われています。

文学に関心のある観光客にとって、日本の近代文学の巨匠が過ごした暮らしぶりを、直接感じられる貴重な場所です。

水前寺成趣園

水前寺成趣園は、熊本市にある、優美な回遊式の庭園です。1632年、肥後細川家の初代藩主である細川忠利が御茶屋を建てたことに始まり、3代目の藩主である綱利の時代に、今の庭園が完成しました。

中国の詩人、陶淵明の詩にちなんで名付けられたこの庭園は、国の名勝や史跡にも指定されています。

園内には、阿蘇の伏流水がこんこんと湧き出る池を中心に、富士山をかたどった築山や、東海道五十三次の景色に見立てた庭が広がっています。

1912年に京都御所から移築された、茅葺き屋根の建物である古今伝授の間もあり、この建物から眺める庭園の景色は、格別だと言われています。

夏目漱石もこの庭園をたびたび訪れており、園内には漱石が詠んだ句碑も残されています。

通潤橋

通潤橋は、熊本県山都町にある、日本最大級の石造アーチ水路橋です。1854年、水不足に苦しんでいた白糸台地に水を送るため、地域の惣庄屋であった布田保之助の指揮によって作られました。

橋の長さは78メートル、高さは20メートルを超え、江戸時代に作られた石橋としては、日本国内で最大の規模を誇ります。

この橋の最大の特徴は、橋の上に敷かれた3本の石の管を使い、水圧の力で水を高い場所まで押し上げるという、逆サイフォンの原理を応用した仕組みです。

通水管にたまった土砂を取り除くために行われる放水は、橋の中央から豪快に水が噴き出す様子から「虹の架け橋」とも呼ばれ、多くの観光客を集める名物になっています。

約170年前に建てられた技術力の高さと、今も現役で棚田をうるおし続けているという実用性が高く評価され、2023年には国宝にも指定されました。

球磨川

球磨川は、熊本県の南部を流れる、県内最大の川です。最上川、富士川と並んで、日本三大急流の1つに数えられています。

この川は、100年以上の歴史を持つ「くま川下り」の舞台として知られ、かつては木材や米を運ぶための大切な水路としても使われてきました。

流れの穏やかな中流域を利用したくま川下りに加えて、水しぶきを浴びながら急流を駆け抜けるラフティングも、多くの観光客に人気の体験です。

日本でもトップクラスの水質を誇るこの清流は、人吉球磨の暮らしや文化を長く支えてきました。西郷隆盛や、歌人の与謝野鉄幹・晶子夫妻もこの川を訪れ、旅の記録を残しています。

天草五橋

天草五橋は、熊本県の宇土半島から、天草諸島までを結ぶ5つの橋の総称です。

天門橋、大矢野橋、中の橋、前島橋、松島橋という5つの橋が、大矢野島や永浦島といった島々をつなぎ、九州本土から天草上島まで、車で移動できるようにしています。

1935年に熊本県議会で構想が提案されてから、実に30年の歳月を経て、1966年についに全線が開通しました。

それまで船に頼っていた天草の交通手段は、この橋の完成によって劇的に変わり、産業や観光業も大きく発展しました。

真珠の養殖がさかんなことにちなんで「天草パールライン」という愛称でも親しまれ、島から島へと橋を渡りながら楽しむ、美しい海の景色は、天草観光の大きな魅力です。

国立公園の阿蘇くじゅう

阿蘇くじゅう国立公園は、熊本県と大分県にまたがる、九州の中央部に位置する国立公園です。1934年、阿寒国立公園や日光国立公園などとともに指定された、日本でも歴史の古い国立公園の1つです。

熊本県の旧名である「火の国」の由来にもなった阿蘇山と、大分県にある九重連山を中心とした公園で、総面積は72,678ヘクタールにおよびます。

噴煙を上げ続ける中岳の火口や、美しい円すい形の米塚、広大な草千里ヶ浜など、雄大な火山景観が連続する見どころが数多くあります。

放牧や野焼きといった人々の営みによって守られてきた、なだらかな草原が広がることも、この国立公園ならではの魅力です。

国立公園の雲仙天草

雲仙天草国立公園は、長崎県の島原半島と、熊本県の天草諸島にまたがる国立公園です。1934年、日本で最初の国立公園の1つとして雲仙国立公園が誕生し、1956年に天草地域が加わって、現在の名前になりました。

雲仙地域は、20を超える山々からなる雲仙岳を中心とした山岳地帯で、地獄と呼ばれる噴気地帯など、火山活動を随所で体感できます。

一方の天草地域は、大小120もの島々からなる多島海が広がり、変化に富んだ海岸線と、美しい海の景色が楽しめます。

両地域は、島原・天草一揆で知られるキリスト教の歴史とも深く関わっており、海外の文化がいち早く伝わった土地としても知られています。

熊本県の世界遺産

熊本県には、2つの世界文化遺産の構成資産があります。1つは、2015年に登録された「明治日本の産業革命遺産」の一部である三角西港です。

宇城市にあるこの港は、明治の三大築港の1つに数えられ、オランダ人の技師によって設計されました。

石積みの埠頭や水路が、当時の姿のまま今も残っており、日本の近代化を支えた歴史を伝えています。

もう1つの構成資産である荒尾市の万田坑は、三池炭鉱の坑口の1つとして、上質な石炭を生産し続けた施設です。

もう1つの世界遺産が、2018年に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」です。

天草市の﨑津集落は、キリスト教が禁じられていた時代にも、ひそかに信仰を守り続けた人々が暮らした集落で、独特の歴史的景観が今も残されています。

歴史の重みと、その土地に生きた人々の思いを感じられる、貴重な場所です。

山鹿市で8月に開催される山鹿灯籠まつり

山鹿灯籠まつりは、熊本県北部の山鹿市で、毎年8月15日から17日にかけて行われる、夏の一大行事です。

深い霧に進路を阻まれた景行天皇の一行を、山鹿の里の人たちが松明をかかげてお迎えしたという言い伝えが、このまつりの由来だと言われています。

まつり最大の見どころは、金色や銀色の和紙で作られた金灯籠を頭にのせた、そろいの浴衣姿の女性たちが、優雅に舞い踊る「千人灯籠踊り」です。

「よへほ節」という民謡がゆったりと流れる中、薄暗闇に千の灯りが浮かび、まるで渦を巻くように揺らめく光景は、なんとも幻想的です。

この金灯籠は、和紙と糊だけを使って作られる精巧な工芸品で、灯籠師と呼ばれる職人たちが、その技術を代々受けついできました。

郷土料理の辛子れんこん

辛子れんこんは、熊本県でしか作られていない、全国的にも珍しい郷土料理です。その始まりは1632年、肥後熊本藩の初代藩主であった細川忠利が、生まれつき体が弱かったことにさかのぼります。

忠利を心配した禅僧が、増血の効果があるれんこんを勧めましたが、忠利は「泥の中で育った不浄なもの」として、なかなか箸をつけようとしませんでした。

そこで、味噌と辛子を混ぜたものをれんこんの穴に詰め、卵の黄身を使った衣をつけて油で揚げたところ、忠利はこれをたいへん気に入り、常食するようになりました。

すると、病弱だった忠利は次第に体が丈夫になっていったと伝えられています。

輪切りにしたれんこんの断面が、細川家の家紋である九曜の紋に似ていたことから、忠利はこの料理を秘伝とし、明治維新の頃まで、門外不出の味として大切に受けつがれてきました。

れんこんに空いた穴が「先が見通せる」という縁起の良さにもつながることから、お正月の料理としても親しまれています。

熊本県を訪れる外国人観光客の国籍・傾向

熊本県を訪れる外国人観光客の数字を見ると、その伸び方には目を見張るものがあります。

2025年、熊本市を訪れた観光客数は約655万人となり、2年連続で過去最高を更新しました。

その中でも、外国人観光客数は約181万人にのぼり、前の年と比べて29.9%も増加しています。

これも2年連続の過去最高です。延べ宿泊者数で見ても、外国人延べ宿泊者数は約115万人となり、前の年から29.7%増という、大きな伸びを見せています。

この背景には、円安の進行に加えて、半導体関連企業の進出という、熊本県ならではの事情があります。

世界的な半導体メーカーであるTSMCの熊本進出をきっかけに、台湾をはじめとしたアジア各国との交流が一気に活発になりました。

これにともなって、阿蘇くまもと空港では国際線の新規就航や増便が相次ぎ、ビジネスの往来から観光へとつながる新しい流れが生まれています。

国や地域別に見ると、台湾、中国、韓国、香港という東アジアの4つの国と地域だけで、外国人宿泊者数の約7割をしめています。

中でも台湾は、半導体産業を通じたビジネスの結びつきの強さもあり、熊本県にとって特に大切な存在になっています。

台湾からのお客さまは、熊本城や阿蘇の自然といった定番の観光地はもちろん、リピーターとして、地元の人しか知らないような場所を求める傾向も見られます。

もう1つ、熊本県ならではの注目すべき動きがあります。それは、アニメの舞台を目当てに訪れる外国人観光客が目立つということです。

作品にゆかりのある場所を訪れる、いわゆる聖地巡礼と呼ばれる旅の形は、これまでの熊本県にはなかった、新しい観光客の流れを生み出しています。

こうした数字が示す通り、熊本県のインバウンドは、単なる観光客の増加にとどまらず、産業やビジネスとの結びつき、そしてアニメという新しい文化的な魅力まで、複数の要素が重なりあって、今まさに大きく成長している最中です。

今後は、熊本市が福岡に次ぐ、九州におけるインバウンド受け入れのハブとしての役割を担っていくことも期待されています。

事業者が知っておきたい熊本県特有の受け入れポイント

ここまで見てきた熊本県の観光地や観光客の傾向をふまえて、実際にどんな受け入れの工夫ができるのか、具体的にお伝えします。

まず大きな特徴として意識したいのが、台湾、中国、韓国、香港という東アジアのお客さまが、全体の約7割をしめているということです。

中でも台湾は、半導体産業を通じたビジネスの結びつきもあり、熊本県にとって特に大切な存在になっています。

繁体字のメニューや案内表示を用意すること、簡単な中国語や韓国語のあいさつを覚えておくことは、決して難しいことではなく、それだけでお客さまに大きな安心感を与えることができます。

次に意識したいのが、半導体関連企業の進出によって生まれている、ビジネス目的の来訪者への対応です。

TSMCの進出をきっかけに、出張や視察で熊本を訪れる外国人が増えています。こうしたお客さまは、観光客とは違い、短い滞在時間の中で効率よく食事や宿泊をすませたいというニーズを持っています。

ビジネスパーソン向けに、テイクアウトのしやすいメニューや、電源やWi-Fiが整った落ちついた空間を用意することは、これからの熊本県の事業者にとって、新しい商機になる可能性があります。

もう1つ、熊本県ならではの新しい動きが、アニメの舞台を目当てに訪れる観光客の存在です。

こうしたお客さまは、作品にゆかりのある場所そのものに強い思い入れを持っており、その場所ならではの特別な体験や、限定のグッズを求める傾向があります。

自分のお店や施設が、何かの作品と関わりがないか、地域の観光協会などに確認してみることも、新しいお客さまを呼びこむきっかけになるかもしれません。

そして、阿蘇や黒川温泉、天草といった、熊本県内でもエリアごとに違う魅力を持つ観光地をどうつなぐかも、大切な視点です。

阿蘇のカルデラをめぐったあとに黒川温泉で疲れをいやす、熊本城を見学したあとに水前寺成趣園で静かな時間を過ごすといった、エリアをまたいだモデルコースを提案することで、滞在時間を延ばし、消費額を増やすことにつながります。

最後に、辛子れんこんや馬刺しといった熊本県ならではの食文化を、しっかりと伝える工夫も欠かせません。

辛子れんこんが、細川忠利という殿様の健康を願って生まれたという歴史を添えて紹介するだけで、料理そのものが、忘れられない旅の思い出に変わります。

熊本県の観光地で使える補助金・支援制度

インバウンド対応を進めるには、費用がかかります。ここでは、熊本県の事業者が活用できる、代表的な補助金や支援制度をご紹介します。

補助金の内容や金額は毎年見直されるため、実際に申請する際は、必ず最新の情報を公式の窓口で確認してください。

熊本市インバウンド受入環境整備事業補助金

これは、熊本市が用意している補助金です。外国人観光客による観光消費の拡大を図るため、熊本市内の観光関連の事業者や団体に対して、受け入れ環境の整備にかかる費用の一部を補助してくれます。

多言語対応の案内表示や、キャッシュレス決済の導入など、日々の業務にすぐに生かせる費用が対象になることが多く、熊本市内で事業を営んでいる方には、特に申請しやすい制度だと言えます(2026年7月時点の情報のため、内容は変わる可能性があります)。

山鹿市のインバウンド受入環境整備促進事業補助金

熊本県内の各市町村でも、独自の補助金が用意されています。

例えば山鹿市では、インバウンドを受け入れるために行う、看板やメニュー表、ウェブサイトの多言語化、新しい食事メニューの開発などにかかる費用を、上限100万円まで補助する制度があります。

山鹿灯籠まつりなど、独自の観光資源を持つ地域だからこその、きめ細やかな支援制度だと言えます(2026年7月時点の情報のため、内容は変わる可能性があります)。

訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金

これは、観光庁が用意している全国向けの補助金です。

宿泊施設向けのインバウンド対応支援事業では、Wi-Fiの整備や多言語対応のフロント設備、キャッシュレス決済端末の導入、バリアフリーの改修などが対象となり、補助率は2分の1から3分の2です。

全国の事業者が申請できる制度のため、まずはこの補助金から検討してみるのがおすすめです(2026年7月時点の情報のため、内容は変わる可能性があります)。

国立公園等多言語解説等整備事業

阿蘇エリアで事業を営んでいる方には、環境省が用意しているこの補助金も選択肢になります。

案内板や展示施設の多言語化、デジタルサイネージの設置など、規模の大きい環境整備プロジェクトに向いた制度で、申請は環境省九州地方環境事務所を通じて行います。

阿蘇くじゅう国立公園という、大きな観光資源を持つ熊本県ならではの、活用しがいのある補助金です(2026年7月時点の情報のため、内容は変わる可能性があります)。

相談窓口の活用も大切です

補助金は種類が多く、条件も複雑です。どの補助金が自分の事業に合っているのか、判断に迷うことも多いはずです。

そんなときは、商工会や商工会議所、そして中小企業庁が認定する「よろず支援拠点」といった、無料で相談できる窓口を頼るのがおすすめです。

熊本県には、阿蘇の雄大な自然や、世界文化遺産、そして半導体産業の進出という新しい追い風まで、他の地域にはない独自の強みがあります。

こうした補助金や支援制度を上手に活用しながら、それぞれの事業者が、外国人観光客を迎える準備を、着実に整えていくことが、これからの熊本県の観光をさらに大きく育てていく力になります。

熊本県の魅力を世界へ届けるために事業者ができること

熊本県には、世界最大級のカルデラを持つ阿蘇山、日本三名城の1つに数えられる熊本城、そして黒川温泉や菊池温泉といった情緒あふれる温泉地まで、他の都道府県にはない豊かな観光資源が集まっています。

通潤橋や三角西港、﨑津集落といった歴史的な建造物、山鹿灯籠まつりのような伝統行事、そして辛子れんこんという独自の食文化も、熊本県の大きな魅力です。

数字が示す通り、熊本県の外国人観光客数は2年連続で過去最高を更新しており、台湾を中心とした東アジアからのお客さまに加えて、半導体産業を通じたビジネスの往来や、アニメの舞台を目当てにした新しい旅の形も生まれています。

この多様な観光客の流れをどう受けとめていくかが、これからの熊本県の大きな鍵になります。

事業者にとって大切なのは、東アジアのお客さまに向けた多言語対応、ビジネス目的の来訪者への新しいサービスの工夫、そして辛子れんこんや馬刺しに込められた歴史を丁寧に伝えていくことです。

熊本市や山鹿市の独自の補助金、そして観光庁や環境省の全国向けの支援制度をうまく活用すれば、費用の負担を抑えながら、その準備を進めることができます。

熊本県が持つ雄大な自然と深い歴史、そして新しい時代の追い風に、事業者1人ひとりの丁寧な受け入れの工夫が積み重なったとき、熊本県はさらに多くの外国人観光客に選ばれる場所になっていくはずです。

この記事を書いた人

旅行、観光、IT・Webマーケティングの仕事に25年ほど携わってきた40代。現在はインバウンド対応に悩む店舗・宿泊施設の方々に向けて、実際に使えるツールや方法をまとめています。導入コストや使い勝手を含めて丁寧に検証することを心がけています。