タイってどんな国?
タイは、東南アジアの中央部に位置する国です。国土の形が、まるで象の頭のようにも見えることから、その独特な地理はよく話題になります。
人口は約7,000万人で、東南アジアの中でも観光大国として世界的に知られています。首都はバンコクで、王室を中心とした長い歴史を持つ、微笑みの国とも呼ばれる国です。
日本とタイの関係は、とても深く長い歴史を持っています。
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タイは東南アジアの中でも、他の国の植民地になったことがない国として知られていて、独自の文化と誇りを大切にしてきました。
そして、日本との人の行き来も、長年にわたってとても活発です。
2025年、日本を訪れたタイ人の数は123万3,103人にのぼりました。前の年と比べて7.3パーセント増え、着実な成長を続けています。
さらに驚くべきは、その消費額です。2025年の訪日タイ人の旅行消費額は、2,527億円という過去最高の記録を打ち立てました。
この数字を見るたびに、私は本当に胸が熱くなります。人数の伸び以上に、ひとりひとりのタイ人旅行者が、日本での時間にどれほど価値を感じ、お金と時間を惜しみなく注いでくれているか。
その情熱の大きさが、はっきりと数字に表れているのです。
タイからの旅行者には、大きな特徴があります。それは、リピーターの多さです。2025年の訪日タイ人のうち、実に71.2パーセントが、2回目以降のリピーターです。
一度日本を訪れたタイの人々の多くが、その魅力に心を奪われ、何度も何度も日本へ足を運んでくれている。
これほどまでに深い信頼を寄せてくれている国が、東南アジアにあるという事実を、私たちはもっと誇りに思っていいはずです。
タイの人々は、微笑みの国と呼ばれるにふさわしい、穏やかで温かい国民性を持っています。
仏教の教えが日常生活に深く根付いていて、他者への思いやりや、争いを避ける穏やかな心が、社会全体に浸透しています。
だからこそ、日本のお店や宿泊施設が誠実に、そして丁寧に向き合うことで、その温かさに応え、より深い信頼関係を築いていけるのだと、私は強く信じています。
タイの2レターコード
| 2レター | 対象 |
|---|---|
| TH | タイ Thailand |
| TG | タイ国際航空 Thai Airways International |
| FD | タイ・エアアジア Thai AirAsia |
| XJ | タイ・エアアジアX Thai AirAsia X |
| SL | タイ・ライオン・エア Thai Lion Air |
| PG | バンコクエアウェイズ Bangkok Airways |
| DD | ノックエア Nok Air |
| VZ | タイ・ベトジェットエア Thai Vietjet Air |
タイの3レターコード
| 3レター | 対象 | 都市名 |
|---|---|---|
| THA | タイ Thailand | |
| BKK | スワンナプーム国際空港 Suvarnabhumi International Airport | バンコク Bangkok |
| DMK | ドンムアン国際空港 Don Mueang International Airport | バンコク Bangkok |
| CNX | チェンマイ国際空港 Chiang Mai International Airport | チェンマイ Chiang Mai |
| HKT | プーケット国際空港 Phuket International Airport | プーケット Phuket |
| USM | サムイ空港 Samui Airport | サムイ島 Koh Samui |
| KBV | クラビー空港 Krabi Airport | クラビー Krabi |
| UTP | ウタパオ国際空港 U-Tapao International Airport | パタヤ Pattaya |
| HDY | ハートヤイ国際空港 Hat Yai International Airport | ハートヤイ Hat Yai |
| CEI | チェンライ国際空港 Chiang Rai International Airport | チェンライ Chiang Rai |
| URT | スラートターニー空港 Surat Thani Airport | スラートターニー Surat Thani |
| UTH | ウドーンターニー国際空港 Udon Thani International Airport | ウドーンターニー Udon Thani |
| THS | スコータイ空港 Sukhothai Airport | スコータイ Sukhothai |
タイの有名な観光地
バンコク(天使の都)
タイの首都バンコクは、正式名称の中に「天使の都」を意味する言葉が含まれる、壮大な都市です。
黄金に輝く寺院と、近代的な高層ビルが同じ空にそびえ立つ光景は、この街がたどってきた歴史の厚みと、今なお成長を続ける勢いの両方を物語っています。
市場の喧騒、屋台から漂うスパイスの香り、そして王宮の荘厳な佇まい。すべてが一度に押し寄せてくるこの街を歩くと、五感のすべてが揺さぶられるような感覚に包まれます。
チャオプラヤ川
バンコクの街を悠々と流れる、タイの生命線とも言える大河です。
かつては水上交通が街の中心であり、今も川沿いには水上マーケットや、川の流れに寄り添うように建つ寺院が数多く残っています。
夕暮れ時に川沿いから眺める夕日は、対岸に浮かぶ寺院のシルエットと相まって、言葉を失うほどの美しさを見せてくれます。
船に乗ってこの川を進むだけで、バンコクという街の歴史と生活の両方を、肌で感じ取ることができます。
シーロムロード
バンコクを代表するビジネス街であり、夜には表情を変える通りです。昼間はオフィスビルが立ち並ぶ近代的な街並みですが、夜になると屋台やナイトマーケットが姿を現し、街全体が一気に活気づきます。
この昼と夜でまったく違う顔を見せるダイナミズムこそ、バンコクという都市の底知れないエネルギーを象徴しています。
ワットプラケーオ(エメラルド寺院)
タイで最も神聖とされる寺院であり、王宮の敷地内に位置しています。本尊であるエメラルド仏は、実際には翡翠でできていると言われていて、その荘厳な輝きは、見る者すべての心を圧倒します。
金色に輝く仏塔や、繊細な装飾が施された建造物が敷地内にひしめき合っていて、その豪華絢爛さは、タイという国が仏教にどれほど深い信仰を捧げてきたかを、雄弁に物語っています。

ワットポー(涅槃寺)
全長46メートルにもおよぶ、巨大な黄金の寝釈迦仏が安置されている寺院です。実際にその足元に立つと、その圧倒的なスケールに、思わず息をのみます。
この寺院は、タイ古式マッサージの総本山としても知られていて、今もその伝統を今に伝える学校が敷地内にあります。
信仰の場でありながら、人々の心と体を癒やす知恵が受け継がれている、そんな多面的な魅力を持つ場所です。
ワットアルン(暁の寺院)
チャオプラヤ川のほとりにそびえる、陶器の破片で美しく装飾された仏塔を持つ寺院です。朝日を浴びると、その繊細な装飾がきらきらと輝き出すことから、暁の寺院という名がつけられました。
対岸から眺める姿も、実際に足を運んで間近で見上げる姿も、それぞれまったく違う感動を与えてくれます。川の流れとともに時を刻んできたこの寺院は、バンコクという街の象徴的な景色のひとつです。
アユタヤ(山田長政)
かつてタイの首都として、実に400年以上にわたって繁栄を極めた古都です。世界遺産にも登録されているこの地には、当時の栄華を伝える寺院や遺跡が、今も数多く残されています。
そして、このアユタヤには、日本人にとって特別な意味を持つ歴史があります。
江戸時代、山田長政という日本人が、この地で日本人傭兵の頭領として活躍し、タイの王室からも厚い信頼を得ていたと伝えられています。
遠く離れた異国の地で、日本人がこれほど重要な役割を担っていたという事実を知ると、アユタヤという遺跡が、より一層特別な場所として胸に迫ってきます。
ワットプラシーサンペット
アユタヤ王朝時代、王宮に隣接して建てられていた、最も格式の高い寺院です。3基の仏塔が並び立つ姿は、アユタヤを象徴する景観として、数え切れないほどの写真に収められてきました。
かつては黄金に彩られていたこの寺院も、ビルマ軍による侵攻で焼き払われ、今はその骨組みだけが残されています。
しかし、失われてもなお、その凛とした佇まいからは、かつての王朝の威厳がはっきりと伝わってきます。栄華と喪失、そのふたつが折り重なるこの光景は、見る者の心に深く刻み込まれます。
ワットプラマハタート
アユタヤの数ある遺跡の中でも、特に印象的な光景を持つ寺院です。ここで最も有名なのが、木の根に取り込まれるようにして埋まっている、仏像の頭部です。
長い年月をかけて木の根がゆっくりと仏像を抱き込んでいったその姿は、自然と信仰が一体化した、他に類を見ない神秘的な光景を作り出しています。
この不思議な仏頭を目の前にした瞬間、時間の流れというものの、途方もない重みを実感せずにはいられません。
スコータイ
タイ史上初の統一王朝が築かれた、まさにタイという国の原点と呼べる古都です。
世界遺産にも登録されているこの地には、当時の壮大な都市計画の跡が、広大な公園のような形で今も保存されています。
緑豊かな敷地に点在する仏塔や仏像の遺跡は、アユタヤとはまた違う、静けさと荘厳さを兼ね備えています。
夕暮れ時、水面に映る仏塔のシルエットを眺めていると、タイという国の文化がここから始まったのだという事実に、深い感慨を覚えずにはいられません。
ワットシーチュム
スコータイ遺跡群の中でも、ひときわ強烈な印象を残す寺院です。高さ15メートルにもおよぶ、巨大な座仏がこの寺院の主役です。
細い隙間から覗き込むようにして参拝する独特の建築様式を持っていて、狭い開口部の奥に浮かび上がる巨大な仏の顔と対面した瞬間、その神々しさと迫力に、思わず言葉を失います。
信仰の対象がこれほどのスケールで表現されていることに、当時の人々の祈りの深さを強く感じます。
チェンマイ(北方のバラ)
タイ北部に位置する、バンコクとはまったく違う魅力を持つ古都です。
かつてラーンナー王国の都として栄えたこの街には、今も歴史ある寺院や城壁が残っていて、落ち着いた雰囲気の中に、深い伝統文化が息づいています。
北方のバラという美しい異名の通り、山々に囲まれた自然の豊かさと、洗練された文化の香りが同居する、独特の魅力にあふれた街です。
バンコクの喧騒に疲れた旅行者が、こぞってこの街に癒やしを求めてやってくる理由が、訪れればすぐに理解できるはずです。
ワットプラシン
チェンマイを代表する、ラーンナー様式の美しい寺院です。優雅な曲線を描く屋根と、繊細な金の装飾が施された本堂は、チェンマイの寺院建築の粋を集めた、まさに芸術品と呼べる佇まいを持っています。
タイ全土で最も美しいと称される仏像のひとつが、この寺院に安置されているとも言われていて、その穏やかな表情に触れると、心の奥底まで静かな安らぎに包まれていくような感覚を味わえます。
プーケット島(アンダマン海の真珠)
タイ最大の島であり、アンダマン海に浮かぶ、まさに真珠と呼ぶにふさわしい美しさを持つリゾート地です。
透き通るような海の青さと、白い砂浜のコントラストは、一度目にしたら忘れられない鮮烈さを持っています。
島の中には、断崖絶壁の景勝地や、伝統的な街並みが残る旧市街など、ビーチリゾートだけにとどまらない、多彩な魅力が詰まっています。
世界中から観光客が集まり続ける理由が、この島に降り立った瞬間、肌で理解できるはずです。
パトンビーチ
プーケット島の中でも、最も賑やかで活気にあふれたビーチです。
日中は真っ青な海でマリンスポーツを楽しむ人々でにぎわい、夜になると、通り沿いに無数のレストランやバー、屋台が軒を連ね、街全体が眠らない熱気に包まれます。
昼の穏やかなリゾートの顔と、夜のエネルギッシュな顔、そのふたつをいっぺんに味わえるこのビーチは、プーケット観光における一番の中心地と言えます。

カタビーチ
パトンビーチの喧騒から少し離れた場所にある、比較的落ち着いた雰囲気を持つビーチです。
緩やかな弧を描く美しい砂浜と、穏やかな波は、ゆったりとした時間を過ごしたい旅行者にとって、まさに理想的な環境です。
高台から見下ろすビーチ全体の景色は、息をのむほどの美しさで、夕暮れ時に染まっていく空と海のグラデーションは、何時間眺めていても飽きることがありません。
サムイ島(ココナツアイランド)
タイランド湾に浮かぶ、豊かなココナツ農園で知られる島です。
プーケットとはまた違う、のんびりとした穏やかな空気が島全体を包んでいて、ヤシの木々が風にそよぐ光景は、まさに南国の楽園そのものです。
近年ではリゾート開発も進み、洗練されたホテルやレストランも増えていますが、それでも根底に流れる島特有ののどかさは失われていません。
喧騒を忘れて、心の底からリラックスしたいと願う旅行者にとって、これ以上ない安らぎを与えてくれる島です。
タイランド湾
タイの南東部に広がる、サムイ島やチャウエンビーチをはじめとする、数多くのリゾート地を抱える海域です。
穏やかな波と、豊かな海洋生物に恵まれたこの湾は、ダイビングやシュノーケリングを楽しむ旅行者にとっても、絶好のフィールドとなっています。
この湾が育んできた美しい自然が、タイ南部の観光を長年にわたって支え続けてきたのだと思うと、その存在の大きさを改めて実感させられます。
チャウエンビーチ
サムイ島の中で最も賑わいを見せる、活気にあふれたビーチです。
真っ白な砂浜と透明度の高い海が広がる一方で、海沿いにはレストランやバー、ショップが立ち並び、昼は南国のリゾート気分を、夜は華やかなナイトライフを楽しめます。
サムイ島がのんびりとした島だと思っていた人ほど、このビーチの活気に驚かされるはずです。静けさと賑やかさ、そのふたつの顔を併せ持つサムイ島の魅力が、このビーチには凝縮されています。
ホアヒン
タイの王室が古くから避暑地として愛してきた、由緒あるビーチリゾートです。
バンコクから比較的近い距離にありながら、落ち着いた気品ある雰囲気を持っていて、派手なリゾート地とは一線を画す魅力があります。
王室ゆかりの美しい離宮や、歴史あるホテルが今も残っていて、そこかしこに気品と風格が漂っています。
喧騒から離れて、静かに、そして上質な時間を過ごしたいと願う旅行者にとって、ホアヒンはまさにうってつけの場所です。
タイから日本へ来る旅行者の特徴
タイからの旅行者には、他の国にはなかなか見られない、際立った特徴がいくつもあります。
まず何より驚かされるのが、リピーターの圧倒的な多さです。2025年に日本を訪れたタイ人のうち、実に71.2パーセントが、2回目以降のリピーターです。
これほど多くの人が、一度きりで終わらせず、何度も何度も日本を選び続けてくれている。この数字を目にするたびに、私は本当に胸が熱くなります。
定番の観光地を巡り尽くした先に、日本のもっと深い魅力を求めて、リピーターたちは新しい地域へと足を延ばしていきます。
だからこそ、地方の小さなお店や宿にとって、タイからの旅行者はまさに理想的なお客様なのです。
そして、タイ市場を語るうえで欠かせないのが、その消費への情熱です。2025年の訪日タイ人の一人当たり旅行支出は207,073円に達し、2019年と比べて50.1パーセントもの大幅な伸びを記録しています。
さらに平均滞在日数は8.0泊と、長期滞在の傾向が強く出ています。短い旅行で終わらせず、じっくりと時間をかけて日本を味わい尽くしたいという気持ちが、この数字にはっきりと表れています。
年齢層や性別の面でも、はっきりとした傾向があります。2025年の訪日タイ人は女性比率が59.8パーセントと高く、年齢層では20代から40代の構成比が大きいという特徴を持っています。
働き盛りの女性たちが、自分自身へのご褒美として、あるいは友人や家族との大切な時間として、日本旅行を選んでくれている。
そう考えると、この数字の一つひとつに、旅行者それぞれの人生の物語が詰まっているように感じられます。
旅行の目的についても、観光やレジャーを目的とする人が84.6パーセントを占めていて、純粋に日本を楽しみたいという気持ちを持った旅行者が大半です。
タイの人々は、微笑みの国と呼ばれるにふさわしい、穏やかで温かい国民性を持っています。
旅先でも人との触れ合いを大切にし、丁寧なおもてなしに対しては、心からの感謝で応えてくれます。
こうした特徴を踏まえると、タイからの旅行者を迎えるうえで大切なのは、リピーターとしての深い関心に応える新しい魅力を提供すること、長期滞在でもゆったりと楽しめる環境を整えること、そして女性層の心をつかむ、丁寧で温かいおもてなしを届けることだと言えます。
知っておきたい文化・習慣
タイからの旅行者を迎えるうえで、知っておくと役立つ文化や習慣を紹介します。
宗教について
タイでは、国民の多くが仏教を信仰しています。
日常生活のあらゆる場面に、仏教の教えが深く根付いていて、街を歩けば、僧侶に食事を捧げる人々の姿や、寺院で静かに手を合わせる人々の姿を、当たり前のように目にします。
仏教の教えは、他者への思いやりや、争いを避ける穏やかな心といった、タイの人々の国民性そのものを形作っていると言われています。
日本の神社やお寺を訪れた際にも、タイの旅行者は自然と敬意を持って接する人がほとんどです。
ただし、仏像や僧侶に対する敬意の払い方には、タイ独自の細やかな作法があります。
たとえば、仏像よりも高い位置に頭を持ってこないようにする、足の裏を人や仏像に向けないようにするといった考え方が根付いています。
こうした背景を知っておくと、寺院を案内する際に、より配慮の行き届いた対応ができます。
食文化について
タイ料理は、辛味、酸味、甘味、塩味という、複数の味が複雑に絡み合う、奥深い味付けが特徴です。
トウガラシやライム、ナンプラーと呼ばれる魚醤など、香り豊かな調味料をふんだんに使う食文化が根付いていて、刺激的でありながらも、バランスの取れた味わいを大切にしています。
そのため、日本の繊細な出汁の味わいや、素材そのものを活かした料理に対しても、強い興味を持つ旅行者が多くいます。
一方で、辛味に慣れ親しんでいるからこそ、日本の味付けを物足りなく感じることもあるため、辛味の調味料を別添えにするなど、味の調整ができる工夫があると喜ばれます。
また、タイでは、屋台文化がとても発達していて、気軽に、そして頻繁に食事を楽しむ習慣があります。日本の食べ歩きグルメや、庶民的な定食文化にも、親しみを持って接してくれる旅行者が多いのが特徴です。
あいさつやマナーについて
タイでは、両手を合わせて頭を軽く下げる、ワイと呼ばれるあいさつが日常的に使われています。
相手への敬意を示す、とても大切な所作であり、日本のお辞儀の文化とも通じるものがあります。丁寧なお辞儀で迎えることで、タイの旅行者にとっても、自然と心地よい印象を与えることができます。
また、タイでは、人前で感情を激しく表に出すことを避け、穏やかな態度を保つことが美徳とされています。
トラブルが起きた際にも、大きな声を荒げるのではなく、笑顔で冷静に対応することが好まれる傾向があります。
この国民性を理解しておくことで、万が一のトラブル対応の際にも、より良いコミュニケーションが取れるはずです。
そして、タイの人々にとって、王室はとても神聖で大切な存在です。タイの旅行者と接する際には、王室に関する話題を軽々しく扱わないよう、配慮することが大切です。
お店や宿でできる対応の工夫
ここまで見てきた特徴や文化をふまえて、実際にお店や宿泊施設でできる工夫を紹介します。
言葉の壁を減らす工夫
タイ語を話せるスタッフを用意することは、多くのお店にとって現実的ではありません。そこでおすすめなのが、「やさしい日本語」と翻訳ツールを組み合わせる方法です。
やさしい日本語とは、難しい言葉を使わず、短くはっきりと話す日本語のことです。
たとえば「ご注文はお決まりでしょうか」ではなく「注文、決まりましたか」というように、シンプルな言い方に変えます。英語が得意でない旅行者にも伝わりやすくなります。
スマートフォンの翻訳アプリを使うのもよい方法です。お店にタブレットを用意し、翻訳アプリを使って注文を受け付ける仕組みを作っているお店も増えています。
女性層を意識した工夫
タイからの旅行者は、女性の比率が高いという特徴があります。
写真映えする空間づくりや、季節感のあるスイーツ、細やかな心づかいが感じられるサービスなど、女性が喜ぶ工夫を取り入れることで、満足度を大きく高めることができます。
また、SNSでの発信も活発な層のため、思わず誰かに伝えたくなるような、ちょっとした演出があると、自然な形での情報拡散にもつながります。
長期滞在・リピーターを意識したおもてなし
タイからの旅行者は、平均8.0泊という長期滞在の傾向があり、リピーターも非常に多いという特徴があります。
じっくりと時間をかけて日本を楽しみたいという気持ちに応えるためには、ゆったりと過ごせる空間づくりや、丁寧な接客が欠かせません。
また、一度来てくれたお客様が、次も同じお店を選んでくれるような、記憶に残る体験を提供することが、長く続く信頼関係につながっていきます。
味の調整ができる工夫
タイの旅行者は、辛味や酸味に慣れ親しんでいる一方で、日本の繊細な味付けにも強い関心を持っています。
辛味の調味料を別添えにするなど、自分の好みに合わせて味を調整できる工夫を取り入れることで、より満足してもらいやすくなります。
予約や決済での配慮
予約については、インターネットでの予約を好む旅行者が多い傾向があります。ウェブサイトやSNSから予約できる仕組みを整えておくと、利用してもらいやすくなります。
決済についても、クレジットカードやスマートフォン決済など、幅広い支払い方法に対応しておくと安心です。
タイのオススメの食べ物
タイ料理の話になると、私はもう情熱が止まりません。あの複雑で奥深い味わいの世界を、ぜひ熱く語らせてください。
トムヤムクン、世界を魅了する酸辣スープの傑作
まず絶対に外せないのが、トムヤムクンです。世界三大スープのひとつにも数えられる、酸味と辛味が複雑に絡み合った、衝撃的な一杯です。
レモングラスやコブミカンの葉といった香草の爽やかな香りと、トウガラシの鋭い辛さ、そしてライムの酸味が渾然一体となって押し寄せてくる。
一口すすった瞬間、これまで味わったことのない味覚の洪水に、脳が揺さぶられるような感覚になります。
プリプリの海老の食感が、その複雑な味わいをさらに引き立てていて、飲み終わる頃には、額にじんわりと汗がにじんでいるはずです。
グリーンカレー、ココナッツミルクが生む優しい辛さ
グリーンカレーも、絶対に味わってほしい一皿です。青唐辛子をベースにしたペーストと、まろやかなココナッツミルクが溶け合い、辛さの中に驚くほど優しいコクが広がります。
日本のカレーとはまったく別物の、スープのようにさらりとした口当たりでありながら、後からじわじわと辛さが効いてくる。この緩急のある味わいの構成に、毎回心を奪われてしまいます。
パッタイ、屋台文化が生んだ国民的一皿
パッタイも忘れてはいけません。米粉の麺を、甘酸っぱいタマリンドソースで炒め上げた、タイを代表する麺料理です。
エビや卵、もやし、砕いたピーナッツが織りなす食感の重なりが絶妙で、屋台の鉄板でジュージューと炒められる音と香りをかいだ瞬間、もう我慢できなくなります。
ライムを絞りかけた瞬間に立ち上る香りの変化も、この料理の大きな魅力のひとつです。

ソムタム、青パパイヤが弾ける衝撃の一皿
ソムタムは、青パパイヤを使ったタイ風のサラダです。見た目はさっぱりとしたサラダなのに、口に入れた瞬間、強烈な辛さと酸味、そしてナンプラーの旨味が一気に押し寄せてきます。
シャキシャキとした青パパイヤの食感も相まって、一度食べたら病みつきになる中毒性があります。この刺激的な洗礼を受けてこそ、本当のタイ料理の世界に足を踏み入れたと言えるのかもしれません。
マンゴーもち米、南国が生んだ至福のデザート
デザートでは、マンゴーもち米を強くおすすめします。甘く熟れた黄金色のマンゴーと、ココナッツミルクをたっぷり吸ったもち米が織りなす、シンプルながら完成された組み合わせです。
ひんやりと冷えたマンゴーの爽やかな甘さと、もち米の優しい甘みが口の中で溶け合う瞬間、南国にいることの幸せを、これ以上ないほど噛みしめられます。
タイティー、街の熱気を冷ましてくれる一杯
最後に、タイティーです。オレンジ色に輝くこの紅茶は、練乳とミルクがたっぷりと加えられていて、濃厚でありながらどこか懐かしい甘さを持っています。
屋台の熱気で火照った体に、この一杯が染み渡る瞬間、それまでの疲れがすっと溶けていくような感覚を味わえます。
タイ料理は、辛味、酸味、甘味、塩味が複雑に絡み合う、まさに味覚の交響曲です。
トムヤムクンの衝撃、グリーンカレーの奥深さ、パッタイの香ばしさ、ソムタムの刺激、マンゴーもち米の幸福感、そしてタイティーの優しい甘さ。
どれも、現地の熱気の中で味わってこそ、本当の感動が伝わってきます。タイに行く機会があれば、これらすべてを、心ゆくまで味わい尽くしてほしいと、心から思います。
タイとの絆をこれからも深めていくために
2025年に123万人を超える人が日本を訪れ、そのうち71.2パーセントがリピーターだったというタイは、数字のひとつひとつに、日本への深い信頼と愛情が刻まれている国です。
一人当たりの旅行支出が過去最高を更新し続けているという事実は、タイの人々が、日本での時間にどれほどの価値を見出してくれているかを、雄弁に物語っています。
バンコクの黄金に輝く寺院群、アユタヤに刻まれた山田長政の物語、スコータイの静謐な祈りの跡、チェンマイの気品ある伝統文化、そしてプーケットやサムイ島の息をのむような海の美しさ。
これほど多彩な魅力を持つタイからのお客様は、日本の観光地や食文化に対しても、同じくらい深い情熱を持って向き合ってくれます。
リピーターとしての深い関心、長期滞在を楽しむ姿勢、そして女性層を中心とした細やかな感性。
これらの特徴を理解し、ゆったりと過ごせる空間づくり、味の調整ができる心づかい、そして記憶に残る丁寧な接客を積み重ねていくこと。
そのひとつひとつが、タイからの旅行者との絆をより深いものにしていきます。
微笑みの国と呼ばれるタイの人々が向けてくれる、あの穏やかで温かいまなざし。その温かさに、私たちも同じだけの情熱で応えていきたい。そう心から思わせてくれる、それがタイという存在です。


