エジプト[EG][EGY]からの旅行者を迎えるために知っておきたいこと。エジプトの人は人と人との距離が近く、会話をするときも親しみを込めて接する文化を持っています

エジプトってどんな国?

エジプトは、アフリカ大陸の北東のはしに位置する国です。国の北側は地中海に面していて、東側には紅海という海があります。人口は1億人を超えていて、アフリカの中でも人口が多い国のひとつです。

首都はカイロです。カイロは、アフリカでいちばん人口が多い都市とも言われていて、古い街並みと新しい建物が入り混じった、活気のある都市です。

エジプトと聞くと、多くの人が思い浮かべるのがピラミッドです。今から4,500年以上も前に作られた建物が今も残っていて、世界中から多くの人が見にやってきます。

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エジプトの歴史はとても古く、世界四大文明のひとつに数えられています。

日本とエジプトの関係も、近年ますます深まっています。2025年には、日本とエジプトの間で大臣同士の訪問が何度も行われました。

11月には、カイロに新しくできた大エジプト博物館の開館式典が行われ、日本からも皇族の方や政府の関係者が出席しました。

この博物館には、ツタンカーメン王の宝物をはじめ、数多くの貴重な品が展示されています。

観光の面では、エジプトを訪れる人の数は年々増えていて、2024年には過去最高の観光客数を記録しました。

日本からエジプトへ旅行に行く人も増えていて、2025年の1月から10月までの間に、エジプトを訪れた日本人は10万人を超え、これも過去最高の記録となりました。

こうした流れから、これからはエジプトから日本へ来る旅行者も、少しずつ増えていくことが期待されています。

エジプトの2レターコード

2レター対象
EGエジプト
Egypt
MSエジプト航空
EgyptAir
SMエア・カイロ
Air Cairo
E5エア・アラビア・エジプト
Air Arabia Egypt
NPナイル航空
Nile Air
NEネスマ航空
Nesma Airlines
DQアレクサンドリア航空
Alexandria Airlines
UJアルマスリア・ユニバーサル航空
AlMasria Universal Airlines
9VAMC航空
AMC Airlines
4Sレッドシー航空
Red Sea Airlines
UFペトロリアム・エア・サービス
Petroleum Air Services

エジプトの3レターコード

3レター対象都市名
EGYエジプト
Egypt
CAIカイロ国際空港
Cairo International Airport
カイロ
Cairo
SPXスフィンクス国際空港(ギザ新空港)
Sphinx International Airport
ギザ
Giza
LXRルクソール国際空港
Luxor International Airport
ルクソール
Luxor
ASWアスワン国際空港
Aswan International Airport
アスワン
Aswan
ABSアブシンベル空港
Abu Simbel Airport
アブシンベル
Abu Simbel
HRGフルガダ国際空港
Hurghada International Airport
フルガダ
Hurghada
SSHシャルムエルシェイク国際空港
Sharm El Sheikh International Airport
シャルムエルシェイク
Sharm El Sheikh
ALYアレキサンドリア国際空港(エル・ヌーザ空港)
Alexandria International Airport
アレキサンドリア
Alexandria
HBEボルグエルアラブ空港
Borg El Arab Airport
アレキサンドリア
Alexandria
RMFマルサアラム国際空港
Marsa Alam International Airport
マルサアラム
Marsa Alam
MUHマルサマトルーフ国際空港
Marsa Matruh International Airport
マルサマトルーフ
Marsa Matruh
HMBソハーグ国際空港
Sohag International Airport
ソハーグ
Sohag
ATZアシュート空港
Assiut Airport
アシュート
Assiut
TCPタバ国際空港
Taba International Airport
タバ
Taba

エジプトに行ったら絶対に行くべき場所

エジプトの話になると、正直、私は少し興奮を抑えられなくなります。ここは「歴史のスケール」が他のどの国とも桁違いなんです。

カイロ

エジプトの首都であり、アフリカ最大級の都市です。何千年もの歴史を持つ古代文明の遺産と、車の喧騒であふれる現代的な大都市が、同じ空間の中に共存しています。

街を歩けば、古いモスクや市場が立ち並び、少し先には近代的な高層ビルが顔をのぞかせる。この圧倒的なコントラストこそ、カイロという都市の最大の魅力です。

何千年もの時間が積み重なったこの街に足を踏み入れた瞬間、人類の歴史そのものの中に迷い込んだような、不思議な高揚感に包まれます。

ギーザ

カイロの郊外に位置する、世界で最も有名な観光地のひとつです。都会の喧騒からわずか車で数十分の距離に、あの巨大なピラミッド群がそびえ立っている。

この事実そのものに、まず驚かされます。現代都市のすぐそばに、4500年以上も前の建造物が今もなお圧倒的な存在感を放ち続けている。

この光景を目の当たりにした瞬間、時間の感覚がどこかへ吹き飛んでしまうような、強烈な体験が待っています。

3大ピラミッド

ギーザに並び立つ、クフ王、カフラー王、メンカウラー王という3人の王のピラミッドです。

今から4500年以上も前、クレーンもトラックもない時代に、これほど巨大な建造物を作り上げたという事実は、何度考えても信じられません。

近づけば近づくほど、その圧倒的なスケールに言葉を失います。人類が成し遂げた最も偉大な建築物のひとつを、自分の目で、自分の足で確かめる。

この体験は、人生の中でも忘れられないものになるはずです。

クフ王

3大ピラミッドの中で最大のものを築いた王です。彼のピラミッドは高さ140メートルを超え、建造から4500年以上経った今でも、世界最大級の石造建築物としてその存在感を保ち続けています。

膨大な数の巨石を、寸分の狂いもなく積み上げていく。その技術力と、それを成し遂げた組織力の凄まじさを想像すると、古代の人々が持っていた知恵と情熱の深さに、心から敬意を抱かずにはいられません。

カフラー王

クフ王の息子にあたる王で、彼のピラミッドは3大ピラミッドの中で2番目の大きさを誇ります。

頂上付近には、建造当時の化粧岩が今も一部残っていて、当時はすべてのピラミッドがこの白い岩で覆われ、太陽の光を受けて輝いていたと考えられています。

今は失われてしまったその輝きを想像しながら眺めると、当時の壮麗さが目の前によみがえってくるような感覚を味わえます。

メンカウラー王

3大ピラミッドの中で最も小さいながらも、精緻な作りで知られる王です。3つの中では規模こそ控えめですが、内部の構造がより複雑で、細部にまでこだわりが感じられます。

大きさだけがすべてではない、細やかな技術と美意識がここには込められています。

3つのピラミッドを並べて眺めると、それぞれの王が抱いていた個性や思いの違いが浮かび上がってくるようで、飽きることがありません。

スフィンクス

3大ピラミッドのすぐそばに鎮座する、人の顔とライオンの体を持つ、謎に満ちた巨像です。

何千年もの間、風化と戦いながらも、砂漠の守護者のようにこの地に立ち続けてきました。誰が、何のために、この巨大な像を作ったのか。

今もなお解明されていない謎が数多く残されていて、その神秘性が、私たちの好奇心を強く刺激します。ピラミッドと並んで、エジプト文明の底知れない奥深さを象徴する存在です。

大エジプト博物館

2025年11月に正式開館した、世界最大級の規模を誇る博物館です。ギザのピラミッドを望む立地に建てられていて、その建物自体が芸術品のような存在感を放っています。

数万点にもおよぶ至宝がここに集められていて、何千年も前の王たちが実際に使っていた品々を、ガラス一枚を隔てただけの距離で目にすることができます。

教科書の中でしか知らなかった歴史が、突然目の前で息を吹き返すような感覚。この博物館は、その驚きと感動を、これ以上ないほどの規模で提供してくれます。

ツタンカーメン王の黄金マスク

大エジプト博物館の目玉であり、古代エジプトを象徴する至宝中の至宝です。

純金で作られたこのマスクは、若くして亡くなった王の顔を模していると言われていて、その繊細な作りと圧倒的な輝きは、見る者すべての心を奪います。

1922年に発見された当時、世界中を熱狂の渦に巻き込んだこの発見は、今なお色あせることのない衝撃を持ち続けています。実際にその輝きを目の前にした瞬間、鳥肌が立つほどの感動に包まれます。

サッカラ

カイロ近郊に広がる、広大な古代の墓地遺跡です。ここには、これから紹介する階段ピラミッドをはじめ、数多くの貴族や王の墓が集まっています。

ギザほど観光客でにぎわっていない分、静かにじっくりと古代の歴史と向き合える場所です。砂漠の中に点在する遺跡群を歩いていると、エジプト文明の広がりの大きさを、肌で実感することができます。

メンフィスの王

古代エジプトの初期の都であったメンフィスを治めていた王たちのことです。メンフィスは、上エジプトと下エジプトが統一された、まさにエジプト文明の出発点とも言える都でした。

この地で歴代の王たちが積み重ねてきた統治の歴史があったからこそ、後のピラミッド建設という偉業が可能になったのだと考えると、エジプト文明の壮大な物語の始まりを、より深く味わうことができます。

階段ピラミッド

サッカラに建つ、世界最古の巨大石造建築物です。後の3大ピラミッドのような、なめらかな四角錐の形ではなく、まるで階段のように段々になった独特な形をしています。

この形こそが、ピラミッドという建築様式が試行錯誤の末に完成されていった、その進化の過程を物語っています。完成された美しさとはまた違う、生まれたばかりの技術の力強さを感じられる、貴重な建造物です。

ジョセル王のピラミッド

階段ピラミッドを実際に築かせた王が、ジョセル王です。この建造物の設計を手がけたのは、イムホテプという天才建築家でした。

それまで日干しレンガで作られていた王の墓を、初めて石だけで築き上げるという、まさに革命的な挑戦がここで行われたのです。

この一つの挑戦がなければ、後の巨大なピラミッド群は決して生まれなかったかもしれません。エジプト建築史の、まさに原点と呼べる場所です。

アレクサンドリア

地中海に面した、エジプト第二の都市です。かつてアレクサンドロス大王によって築かれたこの都市は、古代世界における学問と文化の中心地として、圧倒的な繁栄を誇りました。

カイロの喧騒とはまったく違う、地中海の潮風が漂う開放的な雰囲気が街全体を包んでいます。

古代の知の集積地として栄えたこの街を歩いていると、砂漠の国というエジプトのイメージが一変するような、爽やかな驚きに出会えます。

ファロス島の灯台

かつてアレクサンドリアの港に建っていた、世界七不思議のひとつに数えられる巨大な灯台です。

高さは100メートルを超えていたとも言われていて、当時の航海者たちを導く光として、遠くの海上からもその輝きが見えていたと伝えられています。

地震によって崩壊し、現在その姿を直接見ることはできませんが、古代の技術者たちがこれほどの高さの建造物を作り上げていたという事実だけで、想像力がどこまでも掻き立てられます。

失われてしまったからこそ、より一層強く心に残る、そんな存在です。

ルクソル

ナイル川の中流に位置する、古代エジプトの繁栄を今に伝える屋外博物館のような都市です。かつてテーベと呼ばれ、新王国時代には首都として栄えました。

街のいたるところに神殿や墓が点在していて、歩くだけで古代の壮大な歴史に触れることができます。

ギザのピラミッドとはまた違う、王たちの信仰と権力の物語が色濃く残るこの街は、エジプト観光の中でも特に濃密な体験を与えてくれる場所です。

ナイル川

エジプトの大地を貫いて流れる、母なる川です。何千年もの間、この川がもたらす豊かな水と肥沃な土地があったからこそ、エジプト文明はこれほどまでに繁栄することができました。

川沿いには、これから紹介するカルナック神殿やルクソル神殿など、数々の壮大な遺跡が築かれています。

船に乗ってこの川をゆっくりと下りながら遺跡を巡る時間は、エジプトという国の歴史そのものを、体全体で感じられる、何物にも代えがたい贅沢な体験です。

カルナック神殿

ルクソルに残る、古代エジプト最大級の神殿複合体です。歴代の王たちが、それぞれの時代に増築を重ねてきたため、敷地全体が途方もない規模に広がっています。

中でも圧巻なのが、134本もの巨大な石柱が林立する大列柱室です。

一本一本の柱の太さと高さに、まず度肝を抜かれます。柱の間を歩きながら見上げると、まるで石の森の中に迷い込んだかのような、圧倒的なスケール感に包まれます。

ひとつの神殿がこれほどまでの時間をかけて拡張され続けてきたという事実に、古代の人々の信仰の深さと執念を強く感じずにはいられません。

ルクソル神殿

ナイル川のほとりに建つ、美しい神殿です。かつてはスフィンクス参道によってカルナック神殿と結ばれていて、盛大な祭りの際には、この参道を通って神像が運ばれていたと伝えられています。

夜になるとライトアップされ、幻想的な姿を水面に映し出します。昼間の力強い姿とはまったく違う、夜の静かで神秘的な表情を見せてくれるこの神殿は、一日のうちに何度でも訪れたくなる魅力を持っています。

ツタンカーメン王の墓

王家の谷にひっそりと眠る、あの有名な少年王の墓です。

1922年に発見されるまで、盗掘を免れて手つかずのまま残されていたこの墓には、黄金のマスクをはじめとする、数え切れないほどの至宝が納められていました。

この発見が世界中に与えた衝撃は、今も語り継がれています。実際に墓の中に入り、彼のミイラを目にした瞬間、教科書の中の歴史上の人物が、急に生々しい実在の人物として迫ってくる、そんな感覚に襲われます。

王家の谷

ナイル川西岸に広がる、新王国時代の歴代の王たちが眠る谷です。

岩をくり抜いて作られた墓の中には、数千年前に描かれた壁画が、驚くほど鮮やかな色彩を保ったまま残されています。

地下深くの静けさの中に足を踏み入れると、時間の感覚がおかしくなるほどの、不思議な高揚感に包まれます。

それぞれの墓に描かれた物語や祈りの言葉を辿っていくと、古代の人々が死後の世界にどれほど深い思いを抱いていたのかが、痛いほど伝わってきます。

ハトシェプスト女王葬祭殿 ハトシェプストじょおうそうさいでん

王家の谷の近くにそびえる断崖を背景に建てられた、圧倒的な美しさを誇る葬祭殿です。

エジプト史上まれに見る女性のファラオであったハトシェプストが築かせたこの建造物は、周囲の断崖と一体化するように設計されていて、その大胆な発想と建築美に、思わず息をのみます。

男性が支配することが当然だった時代に、女性としてエジプトを統治した彼女の強い意志が、この壮大な建造物の隅々にまで宿っているように感じられます。

アブシンベル

エジプト南部、ナセル湖のほとりにある小さな町です。この町の名を世界的に有名にしたのが、これから紹介するアブシンベル神殿です。

首都カイロからは遠く離れた場所にありますが、それでも多くの旅行者がわざわざ足を運ぶだけの、圧倒的な価値がここにはあります。

砂漠の果てに、これほどまでの傑作が待っているという事実そのものが、旅そのものをより特別なものにしてくれます。

アブシンベル神殿

ラムセス2世が築かせた、高さ20メートルを超える4体の巨大な像が並ぶ、圧巻の神殿です。近づけば近づくほど、その大きさと迫力に圧倒されます。

さらに驚くべきは、この神殿がダム建設によって水没する危機に直面した際、国際的な協力のもとで、そっくりそのまま高台へ移築されたという歴史です。

人類が一丸となって歴史的な遺産を守り抜いた、その執念そのものが形になったこの神殿には、建造当時の権力の誇示と、後世の人々の情熱、その両方が刻み込まれています。

ナセル湖

アスワンハイダムの建設によって生まれた、広大な人造湖です。アブシンベル神殿は、この湖のほとりに移築されました。

砂漠の中に忽然と現れる、この巨大な水面の存在感には、思わず圧倒されます。

ダム建設という近代の技術が、古代の遺産を救うためにも活用されたという事実を知ると、この湖は単なる人造湖ではなく、過去と現在の技術がひとつに結びついた、象徴的な場所として見えてきます。

ラシード

地中海に面した、ナイル川の河口近くにある小さな町です。日本語ではロゼッタと呼ばれることの方が広く知られています。

静かな港町でありながら、次に紹介するロゼッタストーンが発見された場所として、世界史における特別な意味を持っています。

目立たない小さな町が、実は歴史の大きな謎を解く鍵を秘めていた。そう考えるだけで、この町を訪れる価値が一気に高まります。

ロゼッタストーン

1799年、ラシードで発見された、歴史上最も重要な発見のひとつと言われる石碑です。

同じ内容が、古代エジプトの象形文字、民衆文字、そしてギリシャ文字という3つの文字で刻まれていたことから、それまで誰にも読めなかった象形文字の解読が、ついに可能になりました。

この一枚の石がなければ、古代エジプト文明の詳細は、今もなお謎に包まれたままだったかもしれません。

文字を解読するという、地道でありながら途方もない情熱によって、失われた文明の声が、数千年の時を超えて私たちに届けられた。その奇跡を象徴する存在です。

エジプトに行ったら絶対に食べておくべき料理や食材

エジプトの食事の話も、私は本当に熱く語りたいんです。ピラミッドや遺跡ばかりが注目されがちですが、エジプトの食文化も、負けないくらい情熱を注ぐ価値があります。

コシャリ、これぞエジプトの魂そのもの

まず絶対に食べてほしいのが「コシャリ」です。パスタ、お米、レンズ豆、ひよこ豆、そしてカリカリに揚げた玉葱を全部一つの皿に盛り、その上からトマトソースとにんにく酢、辛味ソースをかけて食べる、庶民の国民食です。

正直、最初に見た時は「これ、全部混ぜて大丈夫なの?」と誰もが思うはずです。でも一口食べた瞬間、その考えは吹き飛びます。

パスタのもちもち感、豆のほくほく感、揚げ玉葱の香ばしさ、そこに酸味と辛味が絡み合って、口の中で味の洪水が起きる。

安くて、お腹いっぱいになって、しかも忘れられない味。これこそ、エジプトという国の懐の深さを象徴する一皿だと、私は本気で思っています。

ターメイヤ、エジプト版ファラフェルの誇り

次に語りたいのが「ターメイヤ」です。そら豆をすり潰して香辛料と混ぜ、油で揚げたコロッケのような料理で、外はカリッと、中は緑鮮やかでほくほく。

実はこの料理、中東で広く知られる「ファラフェル」の発祥地はエジプトだという説が根強くあります。パンに挟んで、朝ごはんとして食べる人も多く、街角の屋台から漂う揚げたての香りをかいだら、もう我慢できません。

モロヘイヤスープ、緑の宝石が生む滋味

エジプトには「モロヘイヤ」という葉野菜を使ったスープもあります。細かく刻んだ葉をニンニクと一緒に煮込むと、驚くほどとろみのあるスープになります。

見た目は地味かもしれませんが、一口すすった瞬間に広がる、優しくも深いうま味。これは、何千年も前からナイル川流域で育まれてきた、まさに大地の恵みそのものです。

鶏肉やウサギ肉と一緒に煮込むことも多く、家庭の温かさをそのまま感じられる一品です。

エイシュ、食卓の中心にある聖なるパン

エジプトの食事に欠かせないのが「エイシュ」と呼ばれる平たいパンです。

アラビア語で「エイシュ」は「生命」という意味も持つと言われていて、それほどまでにエジプトの人々の生活に深く根付いています。

コシャリでもターメイヤでも、モロヘイヤスープでも、このパンをちぎってすくいながら食べるのが基本のスタイル。焼きたてのエイシュが運ばれてくる瞬間の香ばしい匂いは、何度体験しても心が躍ります。

ナイル川の魚料理、母なる川からの贈り物

そして忘れてはいけないのが、ナイル川で獲れる魚を使った料理です。特に「ブルティ」と呼ばれる魚を丸ごと炭火で焼いた料理は、皮はパリッと、身はふっくら。

ナイル川という、古代から人々の暮らしを支え続けてきた大河の恵みを、そのまま味わっているのだという感覚が、他のどんな魚料理とも違う特別な満足感を与えてくれます。

ウンム・アリー、砂漠の国が生む極上の甘さ

デザートとして絶対に外せないのが「ウンム・アリー」です。パイ生地とミルク、ナッツ、レーズンをオーブンで焼き上げた、エジプト版ブレッドプディングのような一品。

温かいまま出てくることが多く、スプーンを入れた瞬間にとろりと溶け出すミルクの甘さ、そこにナッツの香ばしさが重なる瞬間は、まさに至福そのものです。

エジプト料理は、豪華さよりも、大地と川の恵みを丁寧に活かした、素朴で力強い味わいが魅力です。

コシャリの衝撃、ターメイヤの香ばしさ、モロヘイヤの滋味、エイシュの温かさ、ナイルの魚の贅沢さ、そしてウンム・アリーの甘い余韻。

どれも、実際に現地で味わってこそ本当の価値がわかる料理ばかりです。もしエジプトに行く機会があれば、この6つは絶対に、全部制覇してほしいと、心から思います。

エジプトから日本へ来る旅行者の特徴

日本とエジプトは、1922年に国交を結んでから、100年以上にわたって友好関係を築いてきました。

日本はこれまで、カイロの地下鉄やスエズ運河にかかる橋の建設など、さまざまな形でエジプトを支えてきました。

そうした背景もあり、エジプトの人々の間で、日本は昔から親しみを持たれている国のひとつです。

現在、エジプトから日本へ来る旅行者の数は、トルコと同じく、まだそれほど多くはありません。しかし、日本への関心は年々高まっており、これから少しずつ増えていくことが期待されている国のひとつです。

エジプトからの旅行者に見られる特徴として、まず挙げられるのが、日本の技術や歴史への強い関心です。

エジプト自身も古代文明の国として知られていますが、その分、日本の長い歴史や伝統文化に対しても深い興味を持つ人が多いといわれています。

神社やお寺、城といった歴史的な建物は、エジプトの旅行者にとっても魅力的な観光先になります。

また、エジプトの人は人と人との距離が近く、会話をするときも親しみを込めて接する文化を持っています。

日本人からすると少し距離が近いと感じることもあるかもしれませんが、これはエジプトの人にとって自然なコミュニケーションの取り方です。

家族やグループでの旅行を好む点も、多くの中東の国々と共通した特徴です。大人数で移動することが多いため、複数人で座れる食事の場所や、グループでも案内しやすい環境が求められます。

食べ物については、次の章で詳しく説明しますが、宗教上の理由から口にできないものがある人が多い点も、あらかじめ知っておきたいポイントです。

こうした特徴を踏まえると、エジプトからの旅行者を迎える際には、「歴史や文化を丁寧に伝える工夫」「グループでも楽しめる環境づくり」「食事への配慮」の3つを意識することが、満足度の高いおもてなしにつながります。

知っておきたい文化・習慣

エジプトの人をお迎えするときに、知っておくと役立つ文化や習慣を紹介します。

宗教について

エジプトでは、国民の多くがイスラム教を信じています。イスラム教では、1日に5回、決まった時間にお祈りをする習慣があります。

街の中では、お祈りの時間を知らせる呼びかけの声が響くこともあり、その時間帯は仕事や会話が一時的に止まることもあります。

また、1年のうちの1か月間は、日の出から日の入りまで食べ物や飲み物を口にしないラマダンという習慣もあります。

この期間は毎年少しずつ時期が変わり、日が沈んだ後に家族や友人と食事を楽しむのが習わしです。

ただし、これらの習慣をどのくらい大事にするかは、人によって違います。

毎日欠かさずお祈りをする人もいれば、ふだんはあまり意識せずに過ごす人もいます。決めつけずに、一人ひとりに合わせて対応することが大切です。

お祈りの時間を大事にする人のために、静かに祈れる場所を用意しておくと喜ばれることがあります。宿泊施設であれば、部屋の中でお祈りの方向がわかるようにしておくのもひとつの工夫です。

食事について

食事の面では、豚肉やお酒を口にしない人がいます。これは、イスラム教の教えによるものです。また、豚肉やお酒だけでなく、イスラム教の決まりに沿って処理された食べ物しか口にしない人もいます。

お店では、メニューに使われている材料をわかりやすく書いておくと、エジプトからの旅行者も安心して料理を選べます。「豚肉不使用」「お酒不使用」といった表示があるだけで、大きな助けになります。

あいさつやマナーについて

エジプトでは、人との距離が近く、会話の際にも親しみを込めて接する文化があります。ボディタッチを交えながら話すことも多く、これは相手への親しみを表す自然な行動です。

また、エジプトの人はお客さんをもてなす気持ちをとても大切にしています。丁寧に接客をすると、その気持ちがしっかりと伝わりやすいといえます。

服装については、特に厳しい決まりがあるわけではありませんが、宗教施設を訪れる際に肌の露出を控える人もいます。神社やお寺を案内する際に、こうした背景を知っておくと、より自然な対応ができます。

お店や宿でできる対応の工夫

ここまで見てきた文化や習慣をふまえて、実際にお店や宿泊施設でできる工夫を紹介します。

食事メニューの表示を工夫する

もっとも取り組みやすいのが、メニューの表示です。「豚肉不使用」「お酒不使用」といった表示を、料理の写真や名前のそばに書いておくだけで、エジプトからの旅行者は安心して料理を選べるようになります。

すべての料理をハラール対応にする必要はありません。大切なのは、材料の情報を正しく伝えることです。

わからないまま注文してしまうことが一番の不安につながるため、情報をきちんと開示する姿勢が信頼につながります。

メニューを多言語で用意する場合、英語だけでなく、写真を多く使うことも効果的です。言葉がわからなくても、写真を見れば料理の内容がある程度伝わります。

言葉の壁を減らす工夫

アラビア語を話せるスタッフを用意することは、多くのお店にとって現実的ではありません。そこでおすすめなのが、「やさしい日本語」と翻訳ツールを組み合わせる方法です。

やさしい日本語とは、難しい言葉を使わず、短くはっきりと話す日本語のことです。

たとえば「ご注文はお決まりでしょうか」ではなく「注文、決まりましたか」というように、シンプルな言い方に変えます。英語が得意でない旅行者にも伝わりやすくなります。

スマートフォンの翻訳アプリを使うのもよい方法です。お店にタブレットを用意し、翻訳アプリを使って注文を受け付ける仕組みを作っているお店も増えています。

予約や決済での配慮

予約については、電話よりもインターネットでの予約を好む旅行者が多い傾向があります。ウェブサイトやSNSから予約できる仕組みを整えておくと、利用してもらいやすくなります。

決済については、クレジットカードでの支払いを希望する旅行者が多いため、対応できるカードの種類を増やしておくと安心です。支払い方法を事前にウェブサイトなどで伝えておくと、旅行者側も準備がしやすくなります。

グループでの利用に配慮する

エジプトからの旅行者は、家族やグループでの旅行を好む傾向があります。複数人で座れる席や、大人数でも案内しやすい導線を用意しておくと、より快適に過ごしてもらえます。

お迎えの気持ちを伝える

エジプトの文化では、お客さんをもてなす気持ちがとても大切にされています。特別に難しいことをしなくても、丁寧な挨拶や、笑顔での対応だけで、その気持ちはしっかり伝わります。

小さな心づかいの積み重ねが、エジプトからの旅行者にとって「また来たい」と思ってもらえるお店や宿につながっていきます。

エジプトと日本は、100年以上にわたって友好関係を築いてきた国同士

エジプトと日本は、100年以上にわたって友好関係を築いてきた国同士です。

ピラミッドや大エジプト博物館など、世界的に知られる観光地を持つエジプトからの旅行者は、これから日本を訪れる機会も増えていくことが期待されています。

エジプトからの旅行者は、日本の歴史や伝統文化への関心が高く、家族やグループでの旅行を好み、人との距離が近い、あたたかいコミュニケーションを大切にするという特徴があります。

宗教の面では、イスラム教を信じる人が多く、お祈りやラマダンといった習慣がありますが、それをどのくらい守るかは人によって違います。決めつけず、一人ひとりに向き合う姿勢が大切です。

お店や宿でできる工夫は、決して難しいものばかりではありません。

メニューに材料を書いておく、やさしい日本語を使う、翻訳アプリを活用する、グループでも過ごしやすい環境を整えるなど、小さな取り組みの積み重ねが、大きな安心感につながります。

そして何より、エジプトの人が大切にしている「もてなしの心」を、日本側からも返すこと。

丁寧な挨拶や笑顔だけでも、その気持ちはしっかりと伝わります。今回紹介した内容を参考に、できるところから少しずつ取り入れてみてください。

この記事を書いた人

旅行、観光、IT・Webマーケティングの仕事に25年ほど携わってきた40代。現在はインバウンド対応に悩む店舗・宿泊施設の方々に向けて、実際に使えるツールや方法をまとめています。導入コストや使い勝手を含めて丁寧に検証することを心がけています。