多言語の店内POP・張り紙を自分で作る手順|翻訳から印刷まで一人でできる方法

業者に頼むほどではない張り紙、実は自分だけで作れます

小さな定食屋のご主人は、ずっと気になっていることがありました。

トイレの流し方や、店内での喫煙のルールを、外国人のお客さんにうまく伝えられていないのです。日本語の張り紙だけでは、意味が伝わらず、困った顔をするお客さんを、何度も見かけてきました。

多言語の張り紙を作りたいとは思うものの、専門の業者に頼むほどの内容でもない気がして、ずっと後回しにしてきました。

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数枚の張り紙のために、わざわざお金をかけて業者に依頼するのは、なんだかもったいない。そう感じている事業者は、決して少なくないはずです。

しかし、実は、こうした多言語の張り紙は、業者に頼まなくても、自分の手で、しかもほとんどお金をかけずに作ることができます。

スマホやパソコン、そして家庭用のプリンターさえあれば、翻訳から印刷まで、すべて一人でこなすことができるのです。

トイレの使い方、喫煙のルール、営業時間の案内。こうした小さな情報の一つひとつを、正しく多言語で伝えられるようになれば、外国人旅行者の戸惑いを、大きく減らすことができます。

多言語POPを自分で作る前に準備しておくもの

多言語の張り紙作りを始める前に、いくつか準備しておきたいものがあります。準備といっても、特別な道具や、高価な機材は必要ありません。

まず一番大切なのが、伝えたい内容を、日本語で短くまとめておくことです。

何を伝えたいのかがはっきりしていないまま作業を始めると、途中で内容がぶれてしまったり、余計な言葉が増えてしまったりします。

トイレの使い方を伝えたいのか、喫煙のルールを伝えたいのか、まずは一つのテーマにつき、一文か二文程度で、伝えたい内容を紙に書き出しておくと、この後の作業がぐっとスムーズになります。

次に必要なのが、スマホかパソコンです。翻訳をするにも、デザインを整えるにも、インターネットに接続できる端末が一台あれば十分です。

特別なソフトを購入する必要はなく、無料で使えるサービスだけで、必要な作業をすべて完結させることができます。

そして最後に、家庭用のプリンターです。もし自宅やお店に、印刷できる機械がなければ、近くのコンビニのプリントサービスを使うという方法もあります。

この程度の準備で、多言語の張り紙作りは、十分に始めることができます。

翻訳から印刷までの手順

①伝えたい文章を短く、シンプルな日本語にする

多言語の張り紙を作る作業で、実は一番つまずきやすいのが、この最初の段階です。日本語には、丁寧な言い回しや、遠回しな表現がたくさんあります。

しかし、こうした複雑な日本語を、そのまま翻訳ツールにかけてしまうと、意味の通らない、おかしな文章になってしまうことがよくあります。

例えば、「恐れ入りますが、店内でのご喫煙はご遠慮いただいております」という、丁寧な日本語があったとします。

この文章をそのまま翻訳すると、遠回しな言い回しがうまく訳されず、意味がぼやけてしまうことがあります。

それよりも、「店内は禁煙です」という、短くはっきりとした文章にしてから訳す方が、正確に伝わる翻訳になりやすいのです。

短くシンプルな日本語にするコツは、伝えたいことを一つに絞ることです。

一つの張り紙に、あれもこれもと詰め込まず、「トイレの流し方」なら、その手順だけを、「喫煙のルール」なら、そのルールだけを、それぞれ短い文章でまとめます。

この段階で、丁寧な言い回しをできるだけ削ぎ落とし、誰が読んでもわかる、シンプルな日本語にしておくことが、この後の翻訳の質を、大きく左右します。

②無料の翻訳ツールを使って言語ごとに翻訳する

シンプルな日本語の文章ができあがったら、次はいよいよ、翻訳の作業に入ります。無料で使える翻訳ツールは、いくつも用意されており、スマホやパソコンに文章を入力するだけで、さまざまな言語に訳すことができます。

翻訳したい言語は、実際に来店するお客さんの国籍を思い浮かべながら選びます。

すべての言語を一度に用意しようとせず、英語、中国語、韓国語など、よく見かける旅行者の言語から、優先して取り組んでいくのがおすすめです。

翻訳ツールを使う時に気をつけたいのが、出てきた翻訳結果を、そのまま鵜呑みにしないことです。

翻訳された文章を、もう一度、別の翻訳ツールを使って日本語に訳し直してみると、意味が正しく伝わっているかどうかを、ある程度確認することができます。

訳し直した日本語が、最初に書いた文章と大きくずれていたら、その翻訳結果には、注意が必要です。

また、身近に、その言語を話せる知人や、外国人のお客さんがいれば、実際に文章を見てもらい、自然な表現になっているかを確認してもらうのも、とても効果的な方法です。

翻訳ツールだけに頼らず、こうしたひと手間を加えることで、より正確に伝わる張り紙に近づけることができます。

③無料のデザインツールを使ってPOPの形に整える

翻訳した文章が用意できたら、次は、実際に張り紙として見やすい形に整えていきます。文字だけがびっしりと並んだ張り紙は、読む気を失わせてしまいます。

絵や写真を組み合わせることで、ぐっと見やすく、伝わりやすいものに仕上がります。

無料で使えるデザインツールを使えば、専門的な知識がなくても、テンプレートと呼ばれる、あらかじめ用意された型を選ぶだけで、見栄えの良い張り紙を作ることができます。

文字の大きさや色を変えたり、写真やイラストを配置したりする作業も、パソコンやスマホの画面を、指先やマウスで操作するだけで進められます。

デザインを考える時に意識したいのが、文字だけに頼らないということです。

例えば、トイレの使い方を伝えるなら、実際の操作をイメージしたイラストを添えることで、言葉が完全に理解できなくても、直感的に内容が伝わります。

禁煙のルールを伝えるなら、タバコに斜線を引いたマークを添えるだけで、瞬時に意味が伝わります。

色使いにも注意が必要です。赤色を使うと、注意を引きやすくなりますが、使いすぎると、かえって圧迫感のある印象になってしまいます。

伝えたい内容の重要度に応じて、色の使い方にメリハリをつけることが、見やすい張り紙を作るための、ちょっとしたコツです。

④家庭用プリンターで印刷し、店内に掲示する

デザインが整ったら、いよいよ印刷の作業です。家庭用のプリンターがあれば、そのまま自宅やお店で印刷することができます。

もしプリンターが手元になければ、データをコンビニのプリントサービスに送り、その場で印刷するという方法も、手軽で便利です。

印刷する紙質にも、少しこだわってみてください。普通のコピー用紙は、破れやすく、水にも弱いため、トイレなど、湿気の多い場所に貼る張り紙には向いていません。

少し厚みのある紙や、可能であれば、表面を保護できるラミネート加工を施しておくと、長持ちしやすくなります。

ラミネート加工も、コンビニや、100円ショップで購入できる道具を使えば、自分の手で行うことができます。

貼る場所にも工夫が必要です。お客さんの目線の高さに合わせて貼ることや、実際にその場所で困りそうな内容を、その場所に貼っておくことが大切です。

トイレの使い方であれば、便器のすぐ近くに、喫煙のルールであれば、入り口や、灰皿の近くに貼っておくと、お客さんが必要なタイミングで、必要な情報を目にすることができます。

自分の手で作った張り紙だからこそ、内容を直したくなった時にも、気軽にデータを修正して、印刷し直すことができます。この手軽さこそが、業者に頼む方法にはない、自作ならではの強みです。

一人で作る時に気をつけたいポイント

自分の手で多言語の張り紙を作れるようになると、思い立った時にすぐ対応できる、大きな自由さを手に入れることができます。しかし、一人で作業を進めるからこそ、気をつけておきたいポイントもあります。

まず大切なのが、翻訳した内容が本当に正しいかどうか、時間を置いてもう一度確認することです。

作業に集中している最中は気づかなかった間違いも、少し時間を置いてから見返すと、意外と見つかることがあります。

可能であれば、その言語を話せる人に、後日でも構わないので、確認してもらう機会を作っておくと安心です。

もう一つ気をつけたいのが、情報を新しくする時に、すぐ直せる作り方にしておくことです。

営業時間やルールが変わった時、印刷した紙を一からすべて作り直すのは、大変な手間になります。

デザインツールで作成したデータを、きちんと保存しておけば、変更が必要になった時にも、該当する部分だけをすぐに直して、印刷し直すことができます。

データの整理を、面倒がらずにしておくことが、後々の自分を助けることにつながります。

一人で作業をするからこそ、確認作業を怠らないこと、そして、修正しやすい状態を保っておくこと。この二つを意識しておくだけで、質の高い張り紙を、無理なく作り続けていくことができます。

小さな張り紙一枚が、外国人旅行者の安心につながります

トイレの使い方がわからず、困った顔をしていたお客さん。喫煙のルールを知らずに、思わぬ場面で気まずい思いをしたお客さん。こうした小さな戸惑いは、たった一枚の張り紙があるだけで、防ぐことができます。

業者に頼むほどの内容ではないからと、後回しにしてきた張り紙も、今日紹介した手順を使えば、一人の手で、ほとんどお金をかけずに作ることができます。

伝えたい文章を短くまとめ、無料の翻訳ツールで言語を増やし、無料のデザインツールで見やすく整え、家庭用のプリンターで印刷する。この一連の流れは、特別な知識や技術がなくても、今日から始められるものです。

小さな張り紙一枚に、そこまでの手間をかける必要があるのかと、思う人もいるかもしれません。

しかし、その一枚が、言葉の通じない土地で不安を抱えている旅行者にとって、どれほど大きな安心になるか、想像してみてください。

自分の手で作った、たった一枚の張り紙が、これから店を訪れる、たくさんの外国人旅行者の不安を、そっと取り除いていきます。

今日、まず一枚だけでも、作ってみてください。その小さな一歩が、お客さんにとって、忘れられない安心の記憶になります。

この記事を書いた人

旅行、観光、IT・Webマーケティングの仕事に25年ほど携わってきた40代。現在はインバウンド対応に悩む店舗・宿泊施設の方々に向けて、実際に使えるツールや方法をまとめています。導入コストや使い勝手を含めて丁寧に検証することを心がけています。